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8-6.兄の本心
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踵を返し、玄関に向かおうとする僕の腕をすぐに蓮夏に捕まえられる。
「離してっ!」
悲しそうな顔をして僕を見る蓮夏。
「どこに行くんだ、咲太。ごめん、…ごめん俺が悪かったよ、許して、ごめん咲太」
僕の体を抱きしめ、謝る蓮夏。僕は涙を浮かべながら口元を震わせた。
「…離して、蓮夏」
「…嫌だ。咲太がいなくなったら、…俺は生きていけない…」
僕の肩に頭を埋める蓮夏。
「…知らないよ、今は蓮夏とは居たくないっ!離して、離して!」
「離さない」
「…なんで…っっ、…蓮夏なんか大きら…んっ」
後頭部に手を回され頭を固定される。蓮夏にキスをされながら僕は必死に抵抗しようとするも、蓮夏の力の強さに敵わず蓮夏の胸元のシャツをただ握りだんだんと息を乱す。
「……俺に、そんなこと2回も言っていいと思ってるの?」
気づけば、悲しそうな許せないような瞳を向ける蓮夏。少し、怒ってる…蓮夏。
「…ご、ごめん…」
蓮夏の様子に思わずそう謝ると、蓮夏が僕の手を取った。
「来なさい。」
暗い蓮夏の部屋に入らされる。
僕は蓮夏にぐいっと手を強く引っ張られる感触に何かされると思い目をぎゅっと瞑り体を強ばらせる。しかし思いのほか優しく蓮夏の手が僕の体に触れ、僕の体をそっと抱き上げる。蓮夏のベッドの上に横たわらされ、戸惑い、見上げながら瞬きをする僕の近くに腰を下ろす蓮夏。
「……ごめんね」
僕の頬に手を当てながらどこか切ない表情で謝る蓮夏。
「…俺は、咲太が思ってるほどいい人間じゃない。」
え…?
「……俺は…弱い人間なんだ。ごめんね」
蓮夏は、僕の左手を手に取ると、ゆっくり頭を下にさげ、僕の手の甲にキスを落とす。
僕は闇夜に慣れた瞳でそれを見て、瞳を泳がせる。言いたいことはたくさんあるのに、そんな顔されたら…何も言えなくなる。
蓮夏はずるい…。
「…蓮夏はそうやって、僕をはぐらかすんだね」
「…違うよ」
「違わないでしょ」
キッと涙目で蓮夏を見つめる。悲しそうな顔で蓮夏が僕を見つめる。
「やっぱり蓮夏は…僕を子ども扱いしてるんじゃんっっ」
「…それは…君を俺が軽く扱ってるということ?」
「そういう意味じゃないけど…そういう感じにも思える、…蓮夏は、重要なことは、大切なことは…僕には話せないんだ」
そう言ってベッドから立ち上がろうとした腕を取られる。
「……君に嫌われたくないからだよ。いつだって俺の世界は、咲太中心だよ。どうして分からないんだ」
「…そんなこと」
「信じられない?…君への俺の気持ちが」
蓮夏は僕の体をベッドへ押し戻すと、仰向けになる僕の顔に自分の顔を近づける。
重なる唇の感触に僕は瞳を泳がせ、ぎゅっと蓮夏のベッドのシーツを握る。
「…君は俺の弟だけど、それ以上の感情もある。でなければ俺は咲太にこんなことなんてしないよ。」
そう言って蓮夏の手が下へおろされるのを感じ、そして、僕はそれから幾度となく浴びせられる刺激に涙を流すのである。
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