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2020年バレンタインデーの巻 5
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「1週間ぶりの帰宅に、この甘い香り…」
溶けたチョコレートの甘い香り。それをトラが持っている。
確かに、龍崎は組の様々な仕事をしていて家に帰ってこなかった。
正月が終わってから、毎日龍崎は忙しそうにしていた。
トラも、最近まで学期末のテストがあったりしたので、
龍崎とは、あまり連絡をとれていなかった。
組員を通しての連絡が龍崎へいっていたみたいだが、
トラは、よく分からない。
「トラ君…私ね。
あまり、ヴァレンタインデーというイベントは好きじゃないんですよ。
…あまり、甘い食べ物も好んで食べませんし」
そう言いながら、龍崎は手を洗っている。
左の薬指の銀色に光る指輪が、妙に印象的だった。
「そうなの?」
確かに、龍崎が甘いものを食べているところをあまり見かけない。
「だから、受け取っても、微塵も嬉しいなんて思ったこと無いんですよ」
龍崎ならきっと、毎年沢山のチョコレートをもらうのだろう。
けれど、彼が受け取らない事を知っているから、誰も渡さなくなった…
そんなところだろう。
手を洗って、側にあるタオルで手を拭いてから、
龍崎はボールを持っているトラと向き合った。
キッチンに龍崎が立つなんて、違和感があった。
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