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同族 ✼
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おじさんの出張は頻繁にあるわけではないので、あの夜以降は、おじさんが仕事でいない昼間にクーラーの効いた部屋で抱き合った。
「毎日抱きたいけど、乃亜の負担が大きいから我慢する」
そう旭は言ったけど、それでも三日に一回は身体を繋げた。
それぞれの部屋で、ピタリと素肌を合わせたり、後ろからだったり、僕が上になったり、向かい合わせで座ったりして、身体を繋げた。
僕も旭も、抱き合う度に快感が強くなってきてるようだった。
ひと月も経つと、僕は前を触らなくてもイけるようになった。
入れた瞬間に、白濁を飛ばしてしまうようになった。
きっと、僕と旭の身体の相性がいいのだろう。
僕の心は、とっくに旭から離れられなくなっていたけど、身体も離れられなくなってしまった。
でも大丈夫。旭は、ずっと僕の傍にいると約束してくれたから。
旭も、僕がいないと生きていけないと言ってくれたから。
この甘く幸せな時間を過ごしてる間、僕が吸血鬼だということは忘れていた。
旭が深く眠っている深夜に、ふと目を覚まして、『ああ…そういえば、僕は人間じゃなかったんだっけ…』と思い出すこともあった。
でも、それ程深刻に悩むことでもない。だって、おじさんの点滴で、僕は人間でいられるから。今までと変わらずに過ごしていけるから。だから、何も心配することはない。
そう自分に言い聞かせて、旭にピタリと寄り添い、また眠りについた。
この夏は、本当に幸せだった。
子供の頃に旭と暮らすようになってから僕はずっと幸せだったけど、この夏は、特別に幸せだった。
旭と想いが通じて、心も身体も繋がれたから。
この先も、この幸せが永遠に続きますように…。
夏祭りで旭と並んで見上げた花火に、そう願った。
だけど、幸せは簡単に手に入らないものなのに、壊れる時は一瞬で消え去るんだ。
夏休みが後一週間で終わるという残暑の厳しいある日、どうしても大学に行かなければならない用事がある旭に連れられて、大学に来た。
「この本を先生に返してくるから、ここで待ってて。絶対にどこにも行くなよっ」
そう旭にしつこく念押しされて、僕は、大学のカフェでケーキを食べながら、旭が戻って来るのを待っていた。
「これ美味しい。旭にも後で勧めよ」
生クリームがたっぷりと乗ったシフォンケーキを味わうようにゆっくりと食べながら、僕はポツリと呟いた。
「へぇ。君、甘い物が好きなの?」
いきなり声をかけられて、勢いよく顔を上げる。見たことのない男が、勝手に向かい側の椅子に座ると、頬杖をついて僕を見た。
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