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部屋に誰かが入ってくる音がして、そちらに視線をやる。
「身体は大丈夫ですか?」
この部屋に、いや、この家に彼以外がいるのは僕が来てから初めてて戸惑う。
「初めまして、では、ありませんね。何度か取り立てでお会いしてます」
「あっ……えっと、島田さん?でしたっけ?」
「覚えていただいていて良かったです。どうせ、あの我儘坊やはあなたに何も説明もせず感情のまま暴行を加えてたのでしょう?」
「……暴行じゃないです、僕が約束守れなかったから」
「それで納得しているのであれば構いません。まあ、納得されてなくってもこれからは受け入れて貰わないと困りますが」
飽きれたように島田さんが言う。
「簡単に経緯と、今の状態をお伝えしておきます。佐柳奈月さん、あなたは父親の借金の為、月詠組へ売られました。なので、今後はあなたの意思とは関係なく我儘坊やのご機嫌取りをしてもらいます」
彼が月詠組の人なのは分かってた。
だって、あの時、助けられたから好きになった。
「元々、彼に全てを差し出すつもりでしたから彼の側にいれるなら有り難いです」
「勘違いしないでください。あなたは月詠組の所有物であって奏夜さんのモノではありませんから。こちらが不必要だと判断すればあなたは殺処分か組員の慰み者です」
奏夜さん……名前初めて知った。
彼に助けられて、たまたま同じ大学にいるのを見て、そして想いが溢れて告白したから。名前呼ぶ必要も二人っきりの環境ではなかった。
島田さんがとっても怖い事言ってるのに僕の意識は彼の名前が知れたことに全部持っていかれる。
「我儘坊やなんて言ってますが、こちらとしては、奏夜さんを跡取りとして育て上げないといけないので手を焼いているんです。そんな時に此方側のモノをペットにしたいなんてとても都合が良い。あなたを飼うことを条件に色々交渉できましたから。これからも、あなたを条件に色々、奏夜さんを動かしますので、此方の指示には忠実にお願いします。まあ、言うこと聞かないのであれば無理矢理聞かせるだけですが面倒なので」
それって、僕のせいで彼が嫌な事もしないといけないって事?
彼を動かすためのコマになれと……?
「お断りします。もし、それで彼の道を狂わせるくらいなら、今殺してください」
「何を言ってるんですか?あなたに断る権利なんてありません。それに、あなたは間違ってます。奏夜さんの道を狂わせるコマになるのではなく、奏夜さんを正しい道に進めさせるためのコマです」
「……正しい道?」
「そうです。例えば、今、月詠組を敵に回すのと月詠組の若頭として組を動かしていくのどちらが正しい道かなんて言わなくても分かりますよね?あなた、頭は悪くありませんもんね」
「……僕は何をすれば良いの?」
「今は何も、奏夜さんのご機嫌をしっかり取っていただけたらそれで良いです。まあ、あなたが居るだけで利用価値はありますから」
この人には敵わない。
多分、敵にしたらダメな人。
そう、本能的に感じる。
「さあ、話が長くなりました。飼い主を足止めするのも限界なようですし、わたしはこの辺で失礼します。忘れないでください、あなたの所有権は月詠組にあるということを」
それだけ言うと島田さんが部屋から出て行った。それと入れ替わりに今度は別の人が入って来る。
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