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「……………っ、」
心臓が痛い。
触られてるとこだけ、やたら敏感になる。肩甲骨。腰。肩。髪を撫でられて、首筋にかかる息がこそばゆい。
「あ、」
ていうか。
「…………なに?」
もう離れる気はないようで、ヒヤさんは、少しあらがった俺の腕さえ押さえつけて、匂いを嗅ぐみたいにめいっぱい息を吸い込む。ううう。
「あ、や、あの…………今日ジャージだから」
それに、体育もあったし。
「?…………だから?」
「…………うう、ん、ごめん、汗臭いかも」
学校帰りに来ることはめったになくて、だいたい土日だし、平日でも一旦家に帰って着替えてからだ。
人が汗臭いかもって言ってるのに、ヒヤさんは、より一層ひっついて、俺の匂いを嗅ぐ。うひぃ。やっぱこの人、変態だ。
自分から望んだことなのに、今は我慢してるのが情けない。っか、普通でいいのに。ただのハグでいいのに。首筋を甘く噛まれて、変な声が出た。
「うあ……っ、ちょ、あの、ストップ、ヒヤさんっ」
「駄目」
ぐ。動けない。恥ずかしい。恥ずかしい。怖い。ここまで望んでない。……本当か? だって妄想じゃ、もっとやらしいことをしてる。そんで現実になればいいって、期待してる。だけど、だけど。やっぱ怖いよ。
大きな手のひらは、俺の輪郭を確かめるようにあちこち撫でる。想像は、所詮想像なんだと、痛烈に思い知らされる。たったこれだけで、俺はもういっぱいいっぱいだ。これ以上のあんなことやそんなことなんて、到底出来そうにない。頭の中がうわあってなっちゃって、破裂しそうなのに、次から次へと感情が沸いてくる。
ーーーーどうなっても知らないよ。
ヒヤさんに言われたことを、思い出す。怖い。怖いだなんて思いたくないのに、手はうまく力が入らないし、体はぎゅっと縮こまる。
「んん………………も、やだ、終わり……っ……」
蚊の鳴くような声で、訴える。舌が肌を這うたびに、ゾクゾクして、これ以上はヤバいと焦る。なんか変。変だよ、こんなの。
俺の声なんか無視して、彼は俺に覆い被さる。なんとかあらがおうとしても、無意味にクッションを蹴飛ばすだけだった。
「ひあっ……や、だ、やめて……っごめんなさい、ごめんなさい……っ」
「怖い?」
無機質な大人の声が、上から降ってきた。怖い。怖すぎて、俺はまた目をぎゅっとつぶっている。
怖い。……って、口に出したら、二度としてくれないかな。それはやだ。嫌だけど、この状況も、逃げ出したい。
迷って、言葉を漏らした。
「こ、怖い、やだ、ごめんなさい、やだ……」
「………………」
怒るよね、さすがに。
沈黙が痛い。
触られたとこが熱い。
ふわ、と髪を撫でられて、それきり、ヒヤさんは俺から離れた。
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