アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9
-
真っ先に弟が出迎えて、怒る。夕飯を待ってくれてたんだろう。適当にいなして、リビングに向かう。台所から居間までは一続きの空間で、ダイニングキッチンにお父さんはいた。
「ただいま」
「遅いぞー」
「ごめん」
もっと小言があるかと思ってたけど、それで済んだ。なかなかコンロの火がつかないらしい。何度もスイッチを押している。
「つかないの」
「んー……」
生返事。
「今日ご飯なに」
「手洗いは?」
「するよー」
「野菜炒め…………あ、はる」
洗面所にむかおうとした俺を引き留めて、お父さんは俺の名前を呼んだ。
「うん?」
「今度の土曜、ふゆの面倒見といて」
「えーやだよ。予定あるもん」
「なに」
「友達と遊ぶの」
嘘。本当はヒヤさんのとこに行く。
「ふゆも連れてけよ」
「やだよ、邪魔んなる」
「そういうこと言うなよ」
「……………」
大人って、子供だったらひとまとめにすればいいと思ってるよな。親戚の集まりとかでも、そうだけどさ。遊びも話も、全然違うのにな。
「……お父さん、なんか予定あんの」
なんとなくだけど、土曜は自由、日曜は家族三人でってルールがあった。たまにお父さんが仕事や付き合いで家にいない日は、俺が家事をするし、ふゆと遊ぶ。
「なにって、お母さんとこ」
「……………………………」
コンロに火がついた。温め直すだけだから、すぐに美味しそうな匂いがただよってくる。
「お前も行くか?」
「行かない。手ぇ洗ってくる」
洗面所に逃げた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
53 / 136