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「天才だからってお高くとまってんじゃないわよ、あんた」
学校一の美少女が、僕に最初に放った言葉だった。
「…………お高くとまってんのはあんただろ。ブス」
そしてこれが、美少女に対する僕の返答だった。
拜島 愛音(はいじま あいね)。
愛に名前がつく女に、ろくなやつはいない。こいつも例外ではなく、美人なのをいいことに、男をあしらい、女を従え、まるで女王様のように威張り散らしていた。
絶対に反りが合わない。
関わることもない。
……そのはずだった。
教室の隅でおとなしくしていた僕は、この日からあっという間に差別の対象になった。
イジメのほうが、まだマシだ。いや、これは新しいイジメかもしれない。毎日話しかけてきては、仲間のところへ引っ張り出す。名前だけでいいからと部活に誘われ、数時間だからと放課後連れ回される。手が大きいという理由だけで僕にピアノを教え、休みの日にまで会いたがる。
おかげで、一人の時間がかなり減った。
「一人でいたいんだ」
「えー? つまんなくなーい?」
「……………つまんなくない。疲れるんだよ、人といると」
「今度海行きましょう」
「……………………人の話を聞け」
女嫌いは加速した。
恋愛の話ばかりしたがるのには、閉口した。そういう年頃だから、仕方ないのかもしれない。二人きりで歩こうものなら、デートと冷やかされた。彼女がそれを受け入れるのを、僕は断固拒否した。
「ねえ、じゃあ、誰が好きなの?」
そんなものはいないと答えても、彼女にはさっぱり理解できないようだった。
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