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【第一部・脈拍】ヘタレですが何か①
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もうね、いきなり雷でも鳴ろうもんなら心拍停止しますよ。
歩いてていきなりクラクションとか鳴らされたら卒倒します。
自転車のチリンチリンですらイチメートル強は飛び上がるくらいですから。
わかります?
俺がいかにヘタレでビビりで情けない男かが。
えぇえぇ、俺だって嫌ですよこんな性格。
もっと男らしくドンッと構えてたいですよ。
努力だってしてます。
毎日筋肉トレーニングを欠かさずやってますし、ランニングも始めました。
まずは見た目から入ろうとムキムキを目指してはいるのですが、なかなか筋肉はついてくれません。
その前にどうやったら身長が伸びるのか誰か教えて欲しいです。
えぇチビですが何か。
ヘタレでビビりで情けない上にチビですが何か!!
別にいいじゃないですか、人様に迷惑はかけてませんから。
俺の男としてのプライドの問題なだけですから。
ほっといて下さい。
まぁ、俺をバカにしている奴等をいつか見返してやりますよ。
長身になってムキムキになって、上から見下ろしつつ上から目線でモノを言ってさしあげますよ。
って、俺こんな陰湿なキャラじゃねーし…。
「おい武藤」
名前を呼ばれて顔を上げる。
放課後、いつものように一人で帰ろうと席を立った直後だった。
「つか返事は」
俺を呼び止めたクラスメイト、クラスのリーダー的存在の竹内がジロリとそう睨む。
は、返事?
何で俺がお前なんかにハイとか返事しなきゃなんねぇんだよ。
このキツネ目のソバカス野郎が。
クタバレ。
「…ハイ」
とは言えませんよ、えぇえぇ言えませんとも。
仕方なく返事をしてやった。
し て や っ た
「掃除当番替われ。お前暇だからいーだろ?俺、女と会うから忙しんだよ」
お ん な ?
マントヒヒの間違いだろ。
(前にチラッと2人でいるとこ見た事あったが、あれはどう見ても女ではない)
危うくプッと口から出そうになり、慌て頷いた。
「じゃ、頼むわ」
教室から竹内が姿を消した後。
「…シネ」
俺は小さく小さく呟いた。
別に苛められてるわけじゃない。
友達もまぁ普通にいる。
帰り一人なのは学校の目の前が家だから。
一緒に帰ってもせいぜい校門までだからあえて俺は一人を選択した。
楽でいいが、それを目的にこんなバカ高を選んだのだが、そこからしてもう色々と間違っていた。
まずバカ高だけにヤンキーが多い。
簡単に読めたはずの事実も読めなかった俺は更なるバカだと言えよう。
そしてヘタレでビビりな俺の天敵はヤンキーだ。
ヤンキーじゃなくてもヤンキーみたいな奴等とか集団で固まってる茶髪軍団とかとにかくその辺全般天敵。
近寄りたくない。
廊下で会おうもんならその場で倒れて死んだフリが日課だ。
ヤンキーなだけに大丈夫かなんていう思いやりや気遣いも皆無。
アホ丸出しは百も承知さ。
しかしこれはもうどうしようもない。
誰だって熊と鉢合えば死んだフリするだろ?
それと同じだよ。
てか同じにしといて。
「あー…ダル」
掃除場所となっているトイレに直行する。
あんまり使われてないトイレだから結構綺麗だ。
しかしだからと言ってまぁいっかなんてふうには思わない。
竹内は毎回替われと言うが、俺の当番の日にあいつが掃除をしていった試しはない。
ま、これは想定内の事だが。
さっさと終わらせて帰ろう。
綺麗だからか割り当てられた人数も1人。
せめて2人にしてくれよな、なんてぶつくさ言いながらトイレ内へと足を踏み入れた。
瞬間。
「……………」
こ、こ、この臭いは…!!
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