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これほどまでに重いモノを背負ってじゃんけんに挑んだ事が今までにあっただろうか。
まさに生きるか死ぬかの人生の岐路をかけてじゃんけんをした事があっただろうか。
否。
あるわけがない。
そもそもじゃんけんにそんな命をかけるヤツなんていないんだからな。
あーもうちょっと時間をかけられるものにすればよかった。
答えのないクイズとか出して5分以内に答えられなかったら帰らせてとかそんなんにすればよかった。
大体こんな理不尽な要求をする相手にフェアなんてものは必要ないんだ。
「おい、たかが3択だろ。早く決めろ」
ふかぁく考え込む俺にボスザルの鋭い眼が突き刺さる。
な、なんですか、
威嚇ですか!?
威嚇かコノヤロウめ!!
怖いじゃないかもう…(既に涙目ね)
よ、よし、ここは無難なグーでいこう。
大体チョキは負けちゃうんだ。
そう、毎回俺はチョキで負ける。
だからチョキは今この場では絶対としてタブーな手。
グーだ、グーでいこう。
よし!
「じゃ、じゃあいきます」
「ん」
「さ、さーいしょーはぐっ…………!?」
待て!
最初はグーでまたグーを出すのか?
そんなやついる?
俺は毎回二回連続でチョキを出す。
ああだから負けるのか。
て今更気付いてもおせぇな、ふはっ。
てかそんな自己分析どうでもいいわ!!
ふはっ、じゃねぇし!!
(ここまでの間約0.01秒)
「じゃーんけーん」
うおぉー!!
考える時間がもうねぇ!!
しょうがない、ここはもう運を天に任せて…。
「ぽんっ」
と同時に目を閉じる。
弱々しく出された右手はしっかりとその内側を開けて。
何故かパー…。
さあ、ボスザルは、ボスザルはどっちなんだ…。
「しょうがねぇ」
「へ…」
聞こえたため息とボスザルの声。
そっと目を開けた。
「クセが仇になった」
言いながら、ボスザルは苦笑して丸めた拳をチラリと見た。
相手は、グー…。
てことは。
「お前の勝ちだ」
「や、やった…、はは、やった…っ」
勝った!
ボスザルに、ボスザルに勝ったあぁ!
まさかの快挙。
本当はじゃんけんですら勝てる自信なかったんだ。
だけど勝った、勝てた!
「今日は見逃してやる、約束だからな」
しかしその喜びも束の間にされる。
「今日は…、って」
「お前も色々準備が必要だろ。女ってのはめんどくせぇらしいからな」
や、俺女じゃないです。
つか準備とは?
「処女だろお前」
だから女じゃねぇって。
「初めてには心の準備がいんだろ?待ってやるよ、特別な」
い、意味がわからない。
処女とか準備とか何を言ってるんだこのサルは。
薬でも切れたか。
「ハルが言ってたからな、恋人には優しくしろって」
へぇ、あんな人種でもまともな事言ったりするんだ。
へぇ、恋人には優しくねぇ。
恋人、こいびと…。
コイビト?
「こ、恋人っ!?」
うぇっ、誰が?ねぇ誰が?(もう涙目っつーか半笑い、うぇっとか言ってるあたり相当ヤバいよ俺)
「だから待ってやるよ」
だからとか接続させるなよこっちはまだ意味わかんねぇんだよ!!
あまりの意味不明な展開に髪をもしゃもしゃとかきむしり、目を白黒させていればドサリと体が倒れ込んだ。
「ちょ、…、んっ」
二度目のキスも不本意に。
「観念しな」
今度は舌まで入り込んで、引っ込む俺のそれを奥まで追い掛け、絡め取ると同時に甘く吸い上げた。
「ん、っ…」
息が、息が…っ。
「っは、…」
苦しさが余計に混乱を招いて。
もう好きにして下さい、と、俺の意識は綺麗に肉体から分離した。
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