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順序なんて問題ではないのです
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晴れ渡る空。
時折ゆるく吹き抜ける暖かい風。
ポカポカとした陽気についうとうとしそうに…
な れ ま せ ん
何なんですか、俺で遊んでるんですか。
昨日貴方は俺に接吻という行為を何度かされましたよねえぇされましたよこっちはきっちり覚えてます。
しかも恋人云々て訳のわからぬ事をほざいてた記憶があるんですが?
そうさ、昨日だよ、気付いたら自分の部屋だった。
全てが夢だったのかと安堵の果てに嬉し涙を流していればいきなり入ってきた姉貴にこう言われた。
あんた浅間みたいな不良とつるんでんの?
その一言で全てを悟る。
ここまで俺をボスザルが運んだと。
そして、
ゆ め で は な か っ た
と(まだ涙が出る)。
ま、いい。
現実だったのならば仕方ない。
うん。しかしね、しかしだよ。
今のこの状況が全くもって理解できないわけなんだが…。
「聞いてんのかお前」
「き、聞いてますよ…」
「だったらさっさとイエスと言え」
そこ、そこが一番理解できないんだ。
何を思ったのか昼休みにボスザルは俺を裏庭へと呼び出した。
ああ人生終わったんだ、とこれまでの思い出を回想しつつ裏庭へと向かった。
昨日の出来事はボスザルの薬が切れていた為に起こってしまった事故で、それでもこんな冴えない男と接吻行為をした事に怒りが芽生え、そして俺に八つ当たりという名の死刑宣告をするつもりなのだと、この時は勝手にそう解釈していた。
被害者は俺なのに、ですよ。
けれども俺の予想は簡単に裏切られ(まあ良かったといえばそうなんだけど)、しかし死刑宣告はあながち嘘でもなく。
裏庭に出向けばボスザルはすでに来ていて、校舎の壁に背を預けながら立っていた。
あのボスザルを待たせてしまったという焦りと恐怖心からそこでもう涙目になり、慌てて駆け寄り謝罪しまくればボスザルが一言。
「お前、俺と付き合うよな」
「……………」
そして今に至るわけです。
意味がわからない。
ポカンとしていれば、
「ハルが順序は踏めっつーから。とりあえず告白」
「……………」
告白?
え、俺いつ告白されたんですか。
もしかしてさっきの、
俺と付き合うよな
ですか?
はたまた、
さっさとイエスと言え
でしょうか?
告白!?
脅迫ですよね!?
間違えてますよね!?
バッカじゃねーの!!
「順序…、ですか」
とは言えません。
物凄く突っ込みたいんだけれども。
「気に入らねぇか」
「そっ、そんな事は決して…!」
気に入らないもクソもねぇだろうがよ。
とりあえず俺に選択権をくれ。
はっきり言いたい事も言えずうじうじとウジ虫みたいにもじもじしていると、頭にふわりと、何かが置かれた。
「お前が好きだ」
そして聞こえた甘い響きに、不覚にも俺の顔はみるみる朱色へと変化を遂げる。
そうだよ、それが告白だよ。
んでその後に、付き合ってください、とあくまで下手にお願いするんだろ。
真っ直ぐな瞳と真っ直ぐな言葉に、心臓が違った意味でトクトクと速度を増していく。
待て、男、しかも不良相手にときめくんじゃねぇ。
付き合うってどういう事かわかってんだろ?
間違ってもイエスなんて口走ってはいけない。
ボスザルがたとえ本気で俺を好きだったとしても、俺はこの人にそんな感情は抱けない。
てか何かの間違いであって欲しい。
「あの…」
「なんだよ」
「こ、これは何かの罰ゲームとか…、でしょうか」
それとも他に理由が?
目線を地面に下ろしたまま、願うようにそう質問を投げ掛けた。
どうかゲームとかそんなんであって欲しい。
んで後から、付き合わせて悪かったなとか言われたい。
しかし望んだ言葉は得られなかった。
「罰ゲーム?何の」
「いや、だからその、……ゲームに負けたから俺に、とか…」
「だから何のゲーム」
「だ、だから、仲間内で賭け事して負けてとか、ゲームで負けてとか、で、その罰に俺…」
「何の賭け事だよ」
「……………」
話が噛み合わねぇ…。
ちょっとイラついた。
ボスザル相手にイラついた。
スゲーな俺。
「お前を好きって言ったら、罰ゲームにされんだ?」
何だよ通じてんじゃねぇかゴルァ!!
「や、だ、だってですよ、昨日会ったばっかりで、い、いきなり好きとか、言われても…、……………俺男だし…」
「わかったよ」
「え…」
マジで?
告白撤回してくれたり?
「1ヶ月後にもっかい告白すっから」
「……………」
「その間、ちゃんと処女守っとけよ」
「………………」
ダメだこの人…(号泣)
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