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③
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だって、ボスザルと付き合うなんてやっぱり俺には想像もつかない。
友達にだってなりたくない。
こんな人達とずっと一緒にいたら、俺の蚤の心臓は一週間でその機能を停止する。
昨日ちょっと優しくされたからって何を血迷った気持ち抱えてたんだろう。
いくら俺に優しくても、ボスザルはボスザルでしかない。
真弓がボスザルを悪人としか見れないように、俺にとってボスザルは人生最大の天敵でしかないんだ。
人を平気で殴るような野蛮人でしか。
「お前ミジンコ舐めんなよ」
「ばっか、ミジンコに何ができんだよ、ばーか」
「おいおいミジンコだぞお前、アイツらあれで生きてんだぞ、飯だって食うしよ」
「だったら俺ウィルス、お前ウィルス舐めんなよ」
「ウィルス!?おめ、それ超卑怯じゃね?」
「イェー、ウィルス最強。決定、今日からウィルス共俺の下僕。風邪ひいてるヤツいたらそれ俺の下僕が体内で暴れてっから」
「くっそ、いーなーお前」
「早いもん勝ち」
………………。
ああ、アホなんですねわかります。
心臓云々じゃなくて頭の機能が破壊されるわ。
一日でな。
「ユースケは?」
「ああぁすみませっ…、…はい?」
いきなり話を振られ、焦った俺の口からもう条件反射ともなっている謝罪の言葉が飛び出る。
それに二人はまたもぷっと吹き出した後、
「コイツミジンコ、俺ウィルス、お前は?」
赤髪が笑顔で再度質問してきた。
「……………」
えー、何ですか。
俺にアホの世界に参加しろと。
ぇぇー…
考えに考えた挙げ句。
「じゃ、じゃあ白血球で…」
アホ回答した。
しばらく沈黙する二人。
俺も口を閉ざす。
ま、まさか遊ばれてたのか…?
真面目に答えて実は俺が一番アホだったりするのか?
くそ、バカにするならさっさとすればいい。
「ああー!!!」
「ぎゃああぁあー!」
赤髪が突然立ち上がり叫んだもんだからびっくりした俺はまた叫びながらタンスへとよじのぼった。
なななななんなんだよ一体!!!
いきなり叫ぶなよ食われるかと思ったじゃねぇか!
しかしそんな俺には目もくれず赤髪は何やら興奮している。
「くっそ盲点だ盲点!白血球が最強じゃね?ウィルスやられんじゃね?」
………………。
ああ、真性のあほなんですねわかりました。
「ユースケ最強、俺今日からユースケの下僕な」
タンスの上にいる俺を見上げると、赤髪はそうニッと笑った。
「つかお前ミジンコとか論外だし、だからお前もユースケの下僕な」
「えー、マジかよー」
「お前白血球舐めてっと殺られんぞ」
「わかったわかった」
……………………。
なんかもう、どうでも良くなってきた。
「あ、俺んことはナツって呼んで。この白髪はゴンタな」
「いっとくけどゴンタってあだ名だかんなー」
「本名ごんざぶろうだもんな」
「ちっげーよバーカ!」
「ごんざぶろうどの!」
「やめろって、ちげーから」
「ごんざぶろうどの!」
「おめーくどいんだよ!!」
やめて下さいくだらない事で喧嘩しないで下さい。
暴れ出した二人をタンスの上からただ見守る。
いっそ天井裏にでも逃げようか。
そんな土曜の昼下がりだった。
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