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それ以上の意味はない。
「ま、それはそれとして。お前が本当に困ってるってんなら、俺が話しつけてやろうか」
「え、輝彦さんが?」
俺がそう言うなり、キッチンからぶっと何かを吹き出す音が聞こえた。
「なに甥っこに輝彦さんとか呼ばせてんだよ、キモイ」
ああ、そこですか。
「まだ叔父さんとか呼ばれたくねぇんだよ。黙ってろ」
「なぁ、バカ高のボスって今何年?」
ビールを片手に魔王がキッチンからそう身を乗り出す。
「え、二年ですけど」
「ふーん」
「何だよ真生、知ってるヤツいんのか」
「別に。弟がバカ高だからもしかしてと思ったけど違った」
「弟一年だったか」
「うん」
「なら祐介とタメじゃねーか。名前なんだっけ」
「ゴウ」
…………………。
いや、まさかな。
「あの、質問してすみません。真生さんの名字って…」
「ん、真弓」
や っ ぱ り か
え、マジで?
本当に真弓のお兄さんだったりするわけですか?
「祐介、知ってんのか」
「や、あの、知ってるっていうか…」
多分友達です。
「何だよ、ダチか」
「………ハイ」
答えた瞬間魔王が隣に走って来た。
逃げそうになった。
「お前ゴーのダチ?マジで?何だよもっと早く言えよなー」
突然のこの変わりようは一体なんなんだ。
今更いくら優しくなろうとも、お前はもう魔王でしかないんだよ。
そう突っ込みたくなるくらいツンツンしてた魔王が突然柔らかくなった。
「アイツ、キレたらスゲーだろ」
「…はい」
魔神化ですね。
「あんなんだけどさー、俺と結構年離れてるから可愛いんだよね」
「はぁ」
あの図体に可愛いという形容は如何なものか。
「ま、これからもアイツの事よろしく頼むわ」
「や、こちらこそ、ハイ…」
酔ってんのか、魔王はそう言って笑顔で俺の手を握るとブンブンと振り回した。
「あ、ゴーに頼めばいいじゃん。アイツなら動いてくれると思うよ」
や、もう存分に暴走して頂いてます。
とは言えず、取り敢えず友達を危ないめに合わせたくないからと誤魔化した。
そしたら更に優しくなった。
もしかしたら物凄く単純で扱いやすい方でいらっしゃいますか。
そんな俺の心中を察したのか、目が合った輝彦さんは眉をクイッと上に持ち上げた。
ああ、そうなんですね。
「ま、兄貴には言えねぇよな。とりあえず状況が落ち着くまでここにいろ」
いいだろ真生?と聞く輝彦さんに、魔王は笑顔で首を縦に振った。
さっきヤレるヤレないだのぼやいてたのは何だったんだ。
「夜中俺がアンアン言ってても気にすんなよー」
「真生」
「……………」
「あはは、冗談だよ。ま、輝彦が俺の誘いを断れたら、だけどなー」
酔っぱらいですね。
妙にハイテンションなその姿を見て一人納得する。
輝彦さんはやれやれと言った顔でソファから立ち上がった。
「祐介、お前がいない間に兄貴が荷物持ってきた。後で整理しとけ」
あのクソ親父、本気でしばらくここに放置する気だな。
子供の話を少しは聞こうとしたらどうなんだ。
まぁ、今は話せないからいいんだけど。
「ところでお前ちゃんと昼食ったのか」
そう言われてすぐに腹が鳴る。
あ、とコンビニで買った物を思い出した。
手にはない。
キョロキョロ探せばいつ置いたのか、机の下に転がっていた。
すっかり忘れてたな。
食べよう。
「コンビニ?」
「うん、誰もいなかったから、友達」
真弓だけなんだけどな。
「そうか、悪かったな」
「いいよ別に」
そして食べ終わった俺は荷物を整理しようと、ここを使えと輝彦さんから言われた部屋に移動した。
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