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⑧
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「その前からだけどな。バカ高を潰す、って向こうは息巻いてるらしい。完封なきまでに叩いて、支配下に置いてやるんだと」
言いながら鼻で笑うボスザルを見て、何だか俺は嫌な予感がした。
すなわちそうすると、俺も間違いなく巻き込まれるというわけで…。
……………………。
「お前はどう動くんだ」
キツイ視線のまま、輝彦さんはまたボスザルをじっと見据えた。
「俺は別に何もしねぇ。ただ、売られたら買う、それだけだ」
「他の奴等が勝手に動く可能性は」
「ないね。ハル…、別のダチがまとめてるから。ある意味アイツがボスかもな」
「統一感はなくても、お前らのグループが一番勢力あるってわけか」
「さあ」
どうでもいい、本当にボスザルはどうでもいいと言いたげで、うんざりするようにまたため息を溢した。
「浅間って言ったか」
「ああ」
「しょうがねぇ、お前が早いとこ頭張れ」
「はっ、やだね」
何を言い出すかと思えば、とでも言うように、ボスザルは輝彦さんの言葉を鼻で笑い飛ばした。
それを、輝彦さんは冷ややかに見詰める。
「学校同士の抗争は、族みてぇにバックがいない分質が悪いんだ。大体族の争いは最終的に後ろについてるヤクザ同士で話をつける。ヤクザがまとめてんのがほとんどだ」
へぇ…、何だか異次元の話過ぎて俺にはもう何がなんだか…。
「だから何なんだよ」
「つまり、止められるとしたら頭張ってるボスしかいない」
「アンタは無理だったんだろ」
「話を聞いてたのかお前は。止めたのは俺だ。まぁ、相手のボスの力でもあるがな。下が従わなかったら停戦なんて不可能だった」
「俺に止めろって?」
「あの時俺は誓ったんだよ。この先またこういう事があれば、償いも込めてそれを出来るだけ阻止しようってな」
「警察にでもなればよかったじゃねぇか」
「ごもっともだ」
苦笑する輝彦さんを見て、ボスザルはまた浅く息を吐いた。
「頭張るつもりはねぇ。けど、できるだけ避けられるようにはしてみる」
「頼むよ」
ほっとするように笑みを作った後、輝彦さんは棚から日本酒を出してカウンターに置いた。
未成年にお酒すすめる大人って問題、ってか、犯罪になりますよ、今更だけど。
汗を流すも、飲み出した二人を止める事は出来なかった。
ボスザルはボスザルじゃなかった。
だけど一番ボスに近い男。
さっき感じた嫌な予感は、その後間もなく的中する。
自分が巻き込まれるよりももっと最悪な展開が俺を待ち受けていた。
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