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下僕にでも何でも成り下がるので、どうか俺には危害を加えないで下さい。
涙を流しながら懇願する。
どうして今日に限って真弓がいないんだ。
アイツなら、もしかしたらサタンを追い払えたかも知れないのに。
やっぱり恐い。
こんなのは出来れば避けて生きていきたい。
ボスザルを傷付けるくらいならとは思ったけど、やっぱり嫌だ。
そんな簡単には受け入れられないよ。
こんな日常が当たり前になるなら、ボスザルへの気持ちだって実らなくても構わない。
そんな風にすら思ってしまう程の現実を知った瞬間だった。
昼休み。
真弓がいないから一人寂しくパンをかじる。
メールの返事もまだない。
相当具合が悪いのか、考えながら、俺はジュースに口をつけた。
クラスの皆は朝に起こったあの話題で持ちきりだ。
どうやら全てのクラスが服従したらしい。
C組のように乱闘したクラスもあれば、うちみたいに素直に従ったクラスもあるとか。
別に何だっていい。
招集とか言ってたが、俺は参加しねぇからな。
雄ライオンの大乱闘に子犬が加わっても、プチュ、って踏まれて終わりだ。
それに、俺みたいなんは足を引っ張るだけだし、加勢しない方がサタン達の為にもなるだろう。
俺一人いなくなったところで多分気付かれもしないはず。
そう、呑気に考えてる時だった。
「あ、いたいたー」
再び朝の悪夢が甦る。
聞こえるのはサタンの声。
見ないようにと頑張るも、いきなり目の前から顔を覗き込まれてはそれも無理だというもので。
「お前、伝達係ね」
「…………………」
ストローを口で挟んだままフリーズする。
え、なに?
聞こえない。
何も聞こえない。
「名前は?」
「む、むとう…ゆうすけ」
な ぜ だ
何故俺なんだ。
伝達係?
何ですかそれは。
鳩でも飛ばせばいいじゃないですか。
「ユースケ、早速だけど、これ、屋上に届けてよ」
差し出されたのは白い封筒。
まさかこれは…っ。
「ちゃんと仕事しないと後から懲罰受けてもらう事になるから」
「わかりましたすぐにお届けします」
ニッコリ笑うサタンを見て、俺はガタンと椅子から立ち上がった。
満足気に頷くと、次にサタンは大きく声を張り上げる。
「それからこのクラスん中でトップ決めといてー。あ、一番強いヤツね。一応幹部的な感じで。招集かけたら代表としてそいつが来る事」
わかった?との問いに、一同の首が縦に揺れる。
しかしそんな事は俺にはもうどうでもよくて。
何でなんだ。
どうして俺なんだ。
こんなのあんまりじゃないか。
俺が一体何をしたって言うんだ。
しかも屋上だと?
今一番会いたくない人がそこにいらっしゃるんですが。
お前の都合なんか知ったこっちゃない。
ですよね、そうですよね。
涙を流しながら俺は屋上に向かった。
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