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浮上①
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まだ顔が熱かった。
ぼうぼうと、まるで火がついたように体中が熱く燃えていた。
な、何て大胆な事を言ったんだろうか俺は。
ボスザルもなんか、呆気に取られたような顔をしてなくもなかった。
恥ずかしい。
他の人とえっちな事するなとかとんでもなく破廉恥で大胆だ。
もうムリ俺。
本当にもうボスザルに会いたくない…。
携帯を届けた後、俺はまた学校に戻って普通に授業を受けた。
しかし授業の内容なんて当然頭に入らず、体は空にでも浮いてるようなふわふわとした感覚に陥っている。
真弓がいない事でいつもより騒がしい教室の中、俺はぐったりと机に突っ伏した。
そんな俺に、珍しくクラスメイトから声がかかる。
何故か携帯のカメラで狙われたまま。
「おい祐介、顔上げてこっち向け」
「な、何で…」
「いーから」
これ以上逆らうと恐いので、言われた通り机から頭を持ち上げ、俺は構えられた携帯のカメラに顔を向けた。
瞬間、カシャリ、とシャッターを切られる。
コイツは確かクラスのムードメーカー的な存在の加藤だったか。
いっつも周りは数人の友達で溢れて、毎日楽しそうに過ごしている。
顔は幼くて可愛らしい感じ。
金に近い茶髪だけど、ピンで止めたり前髪だけくくったり、ヤンキー系じゃなくてアイドル系みたいな、そんな雰囲気を持ってるやつだった。
だけども恐い。
周りの友達がいかついから、多分可愛らしコイツも本当は恐いに違いない。
類は友を呼ぶからな。
「お、出た」
「な、何が」
携帯をカチカチ操作した後、加藤はそう言って笑顔を作る。
意味がわからない俺は、あまりしつこくせずに返事を待った。
「あれだよ、顔の写真送ったら、何に似てるか出てくるサイト」
「はぁ…」
「お前、何だと思う?」
「さ、さぁ…」
「じゃん!武藤祐介くんは犬顔でーす。しかも子犬だって、かっわい」
「……はは、」
引き釣った笑顔しか出来なかった。
「ただいま…」
昼からは特にこれと言った問題もなく、今までと同じように何事もなく過ごせた。
しかしまだ頭から離れないボスザルへ放ったあの大胆な言葉が、今も俺を恥ずかしめ続けている。
早く忘れてしまいたい…。
や、言った事は本音だけど、まだ付き合ってもないのに相手のそんなプライベートな部分を縛る権利はないわけで。
それに、1ヶ月の間にボスザルの興味は別の誰かにいっちゃう可能性もあるんだ。
恐かったけど、だけど俺は1ヶ月先まで伸ばした。
俺への気持ちがどれだけのものなのか、知りたかったから。
1ヶ月後、今と変わらずに好きだと言ってくれたら、次は快くお願いしますって手を差し出そうと決めている。
ぶっちゃけ、まだ俺はボスザルを信用してない。
俺への気持ちも、気の迷いかなんかだって思ってる。
女にも不自由してなさそうだし、男前だし、カリスマ性あるし、そんな魅力ある男が、俺なんかを本気で相手にするはずがない。
例え好きだっていうのは本当だとしても、その深さは極めて浅い。
俺はそう思っていた。
「えー、マジ…」
誰もいない静かなリビングで、輝彦さんからのメモを見付けて手に取った俺は、それを読んだ後に盛大な溜め息を吐いた。
仕事に追われて、今日は会社に泊まり込みになるんだとか。
一人…。
今日は話し相手が欲しかったのに。
「ま、仕方ないか」
輝彦さんだって、いきなり俺なんかを押し付けられて迷惑してるはずだよな。
まぁ、恨むならあのクソ親父でお願いします。
部屋着に着替えて、俺はテレビの前を陣取った。
暇な時はゲームに限る。
クリアしてないゲームを取り出し、ゲーム機にセットした。
「あー、そうだ、コレなかなかレベルあがんないから面倒くさくなって放置してたんだ」
ブツブツ独り言を呟きながらレベル上げに没頭する。
時間が有り余ってるからこそできる技だ。
気付けば夕飯時になっていた。
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