アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
間に合ってます①
-
次の日。
学校に着いたのは朝の7時。
いつも目覚める時間に俺は1人学校の屋上にいた。
こんな朝早くに、もちろんいつものボスザル軍団は誰1人いない。
広がる景色にんっと伸びをし、俺はコンクリートの上に大の字で寝転がった。
なんて爽やかな朝なんだろうか。
風もいい感じで気持ちがいい。
この空気は朝独特のもので、昼間や夕方じゃ絶対に味わえない。
早起きは~なんてことわざがあるけど、この空気を吸えるだけでもう十分得をしているような気がした。
しかし今日は学ランを着ずに登校してきたから、少しだけ風が肌寒く感じる。
こんな朝早く学校に来たのは、ボスザルに聞きたい事があったから。
昨日のアレ。
もしかしたらボスザルなら知ってるかも知れない。
根拠はないけど、俺が関わってるならボスザルも関わってる。
そんな気がしたから。
てか、ボスザルっていつも何時に学校来るんだろう。
別に早起きしてわざわざこんな早く来る必要はなかったんだけど、なんか落ち着かなくて気がついたらマンションを出ていた。
それに何てゆーか、早く会いたかった…、ていうのもあるし、あと、今日は真弓がいるかも知れないから、真弓に会う前に会っておかないとチャンスがないかもって思って。
ボスザルの携帯番号とかアドレスも、聞けたら聞きたいなぁとか寝る前に考えてたらさ、うん、ドキドキしてまんまと寝不足にもなってしまったわけです。
や、その前から寝不足は決定事項だったけど。
またんっと伸びをして、欠伸をする。
「ふう…。……ボスザル」
ってあだ名、板についちゃったけど、好きな人を猿呼ばわりってどうなんだろうか。
かと言って今さら浅間先輩も気恥ずかしさが残る。
1ヶ月後、もし付き合う事になったら、やっぱり名前で呼べとか言われるんだろうなぁ。
…………………。
「け、け、けけけけ…!…………っはあ、ダメだっ、無理っ、呼べないっ!!」
絶対ムリだ!!
本人がいないとこでも何かケケケ…って気持ち悪い笑い方みたいになって呼べないのに、本人を目の前にしたらけの時点で多分卒倒する。
「はあ…」
名前すら呼べないのに、え、えっちな事なんか出来るわけない。
裸になって抱き合うとか…。
…………………。
「うっ、うわあぁあー!!何でこんな時だけ想像力豊かになるんだこの脳ミソめ!」
起き上がって両手で自分を抱き締めるように腕を交差した。
「見せられませんっこんな貧弱で色気のないカラダ!」
女の子みたいに豊かな胸があるわけでもないし、程よく脂肪がのったやわらかい体でもない。
つるつるのピチピチなんかとは駆け離れてるこのバディなんか…っ!!!
しかも何か付いてますよってゆう!!
「はあ…」
わからない、本当にわからない。
ボスザルは一体俺の何に惹かれたんだ。
何がいいと感じたんだ。
犬顔か?
やっぱり動物に似てるこの外見か?
別にもう犬扱いされてるとは思わないけど、だからこそ余計にわからなくなる。
俺の何が好きなのか。
付き合うようになって、…かっ、仮にえっちをするまでに進展したとして、そしたら多分、ボスザルは、…やっぱり違う、とか…、思ったりするんだろうな。
「はあ…。何て悲観的なんだ自分は…」
もともとネガティブだから仕方ないのかも知れないけど。
でもそうやって考えたら、ますますえっちなんてしたくなくなってしまう。
嫌われたくないって恐怖心に比例して、えっちしたくない、の拒絶心も上がっていってしまう。
また、ゴロンと寝転んでため息を吐いた。
その時、扉の向こうに気配を感じ慌てて起き上がると、俺は入り口となっている建物の上へと続く梯子を急いで駆け登った。
そしてほふく前進の体勢を取り、そっと下を覗き込んでみる。
錆び付いたドアが音を上げながら開かれ、中から出てきたのはボスザル。
ドキドキと高鳴る心臓を真ん中に、結構早く来るんだな、なんて思いながら立ち上がろうとすれば。
「浅間先輩」
姿は見えないけど、ボスザルを呼ぶ聞き覚えのあるその声に、俺はまたとっさにコンクリートに張り付いた。
.
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 301