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④
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「これでも簡単に説明したつもりなんだけどなぁ。だからな、大屋は玄壟会よりも格下になるわけ」
ハルさんに目をやればまたイキイキと輝いていて、ついていけそうにないと判断した俺は助けを求めるようにしてボスザルに視線を向けた。
目が合うと、困る俺を見てボスザルがふっと優しく笑みを作る。
「チーム同士の争いは、大抵バックにいる組の話し合いでケリがつけられるんだ。組に格差があればチームにも格差がつく」
なるほど…。
少しだけ話を飲み込めて、なんだか嬉しくなった。
「昔はヤクザとか無関係でチーム立ち上げたり出来たらしいけど、今じゃバックがいなけりゃ立ち上げた瞬間潰される」
つまんねぇよなー、なんて言いながら、ハルさんは机の上にある空になった瓶を指でコンッと弾いた。
「まぁでも、バックが介入するのは相手が出してきた場合のみだけどな。無闇に組の名前を出すとチームのトップが怒られちゃうから」
まるで経験談のようにして語るハルさんを不思議そうに見ていれば、ハルさんはあっさり俺に言った。
「あ、俺もチームの人間だった時あんだよ。そこの2人もね」
そこの2人と言われて、疫病神2人が揃って親指をぐっと立てた。
いや、親指立てる意味がわからない。
そのキリッと決めたつもりの顔も別にカッコよくない。
はは、と引きつるようにして笑顔を返せば、ゲームをやめて2人も会話に参加し始めた。
すみませんうるさいから向こうにいっててもらえませんか。
どうせ舐めんなよトークを開催するんですよね。
「つか、死神の力が弱くなったらヤバくなんない?」
ゴンタさんがそう言いながら俺からコーラを奪い去る。
そしてぐいっと飲むその姿を何故かボスザルが鋭い目付きで睨み付けた。
え、何で…?
仲間割れはよくないですよ。
左にボスザル、右にはゴンタさん。
喧嘩とかされたら俺本当にぷしゅぅ…って空気抜けますから。
気付かないゴンタさんはそのまま言葉を続ける。
「死神がまとめてるからむやみやたらとチーム同士の争いも置きねぇわけだし」
すると今度はナツさんがゴンタさんからコーラを奪って。
「だよなー、同じ死神の傘下にいるからって、全てのチームが友好関係にあるわけじゃないかんなーあらまぁ厄介、あ」
また更にそれをゴンタさんが奪う。
「もし死神がその新しいチームに潰されたら、傘下にいるチームはその新しいチームの配下に置かれんのかな、ちょ」
そしてまたナツさんが。
「や、死神崇拝してるチームはそのままなんじゃね。逆らえないってだけで、傘下から抜ける必要性はないわけだし、おいコラ」
そしてゴンタさんが。
「死神を嫌ってるとこは一斉に新しいチームの傘下に入るんだろうけどな。となれば、弱小だったのが一気に大逆転だーってクソナツゴルァ!さっきからうぜんだよ!俺のコーラ取るんじゃねぇ!!」
や、それは俺の…。
いきなり吠え出すゴンタさんに、隣にいたナツさんが眉を寄せながら指で耳の穴を軽くほじる。
「うるせーなぁお前は」
「俺が大のコーラ好きって知ってんだろが」
「だってごんざぶろうと間接ちぅしたかったんだもぉーんでござる!!」
「だからごんざぶろうじゃねぇっつってんだべ!!…………あ、」
「あ」
「あ」
ハルさんとナツさんのあ、という言葉が綺麗に揃う。
俺はくっと歯を食いしばり、咄嗟に下を向いた。
笑ったら殺される。
「ち、違う!!たんに間違えただけだろーが笑うな!!」
「ゴンちゃんやっぱりごんざぶろうじゃーん」
「違う!!シネ!!」
「なあなあ、おやめくださいナツ衛門どの…っ、とか言ってみてよー」
少しだけ赤くなった顔を誤魔化すようにして立ち上がるゴンタさんに、ナツさんが訳のわからない要求をしながらその腰に腕を巻き付ける。
赤い頭をゴンッと殴ると、ゴンタさんはまたゲームの方へと移動してしまった。
仲がいいのか悪いのか…。
「ハル」
そんな2人を見てため息を吐くと、ボスザルはハルさんに顔を向けた。
「また連絡くれ」
「オッケーい」
多分さっきの事についてなんだろう。
2人のやり取りを見て呆れたような顔をしていたボスザルの表情が、またかたいものへと変化していた。
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