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羞恥と我慢と安息と①
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綺麗にされてる、と、初めてボスザルの部屋を見た感想はそれだった。
無駄な物は置かれていない。
男の一人暮らし、もっとゴチャゴチャしてるもんだと思ってた。
や、輝彦さんは大人だし例外で。
適当に座れと言われて、俺が選んだ場所はやっぱりソファ。
腰掛けるというか地べたに座る感覚に近い低いそれに腰を下ろすと、俺はキョロキョロと目を動かした。
部屋は全部で三つくらいかな。
キッチンもちゃんとあって、3DKってとこか。
いや、2LDKという方が正しいかも知れない。
キッチンとリビングには間仕切りがあるけど、それもカーテンレールのようなもので、ほとんど一つの部屋だ。
それに面して部屋が二つ。
どこも全てフローリングだった。
あれは何インチだろう、結構でかい薄型のテレビが目の前の壁にかかっている。
ガラスのテーブルには中に物がしまえるようになっていて、上から覗き込めばいくつかのアクセサリーが目に写った。
床に敷かれている絨毯は黒で、見ればソファも黒。
黒が好きなのか、と、それと正反対となるボスザルの髪の色に思わず目を向けた。
「わ…っ」
キッチンにいると思っていたその姿は、いつの間にか俺の真横に。
ビックリしすぎて反射的に体を横にズラしてしまった。
それが気に入らなかったのか、少しだけ目を細めたボスザルがグイっと俺を引き戻す。
そしてそのまま腕の中に引き込まれて、心臓がバクバクと音を上げ始めた。
ボスザルの足の間にスッポリと挟まれ、背後から耳元に口を寄せられる。
「祐介」
「は、い…」
「俺はお前を護る為にお前を殴ったつもりだった」
「分かってます…」
「それをあのバカがぶち壊した。俺がどんな想いでお前に手を上げたのかわかってんのかって話だ」
「………」
「意味のない暴力になった、本当に悪いと思ってる。最低だよマジで」
ぎゅうっと痛い程に俺を抱き締めて、俺の髪に鼻を寄せるボスザルが愛しくてたまらなくなった。
やっぱり一番痛い想いをしたのはこの人だった。
慰めたくて、俺は腕の中から逃れるとゆっくり振り返って向き合う形を取った。
「あの、全然痛くなかったし、その、そんなに自分を責めないで欲しいです俺は…、俺は、あの暴力に意味を持たれる事よりも、こうして一緒にいられる方が何倍も何十倍も嬉しいし、だからあの、はい…」
言ってるうちに段々恥ずかしくなってきて赤くなった顔を下に向ける。
けれどそれを両手で上に向かせると、ボスザルは今まで見た事もないような優しい柔らかい笑みを俺にくれた。
「お前がそう思ってくれてんなら、それでいい」
「は、はい…」
「護るから、必ず。俺の責任だ、絶対お前を死守する」
「も、もう、あの、離れなくてもいいんですよね…」
「ん」
そうか、もう、離れなくてもいいんだよな。
そう思ったら、安堵と共に更に愛しさが溢れ出てくる。
我慢しなくてもいい、ずっと一緒にいられる。
メールのアドレスが変わっても、すぐに聞ける。
てか、携帯なんて必要ない。
だってずっと一緒なんだ。
嬉しかった。
寂しかった分、俺は本当に嬉しかった。
そのまま降りてくる口に抵抗感もないまま、むしろ俺は自分から顔を近づけて、その甘い口付けを受けた。
後頭部に手が回り、押さえつけるようにしてキスをされる。
当たり前のように舌を入れられて、熱く中を蹂躙された。
ヤバイ、これは、ヤバイ。
あの屋上の時のように、激しくしつこくなっていく口付けに、下半身にビリビリと電気が走る。
多分きっと少しだけ反応してる。
それを感じた俺は、焦ってボスザルから口を離そうと両手をその肩に押し付けた。
しかし。
「言ったろ、別におかしくねぇって」
「あ、や、だ…っ」
俺の思ってる事を見抜いていたのか、両手を頭上に拘束されると共にどさりと押し倒される。
そのまま着ていたシャツを捲り上げられ、腹部に唇を落とされた。
ぞくぞくと、悪寒にも似た感覚がまた下半身に連動される。
「腹、大丈夫か」
「え、…っ」
「手当て、してやるっつったろ」
「あ、ああああのっ、手当てって言うのはし、ししし舌とか使わないと思います…っ!!」
ペロ、っと、腹部を舐められて、喉がひくついた。
腹部というかもうほとんど下半身に近い。
腰にひっかかっていたジーパンのボタン付近ってもうお腹じゃないよね違うよね!!
ああああもうやめてください!
「ん、あ、の…、も、へーき…、ってちょちょちょっと何やって…!!」
「なあ、ちょっとは黙れよ」
ジーパンに手をかけられ、拘束された両手を振りほどこうと力を込める。
けれどそれも叶わない為、同時に声も張り上げて。
そしたらうるさいと、キスで口を塞がれた。
「その前に、聞いとく」
「………?」
潤んだ瞳を上に向ける。
目に写るその端整な顔立ちは、俺をより羞恥に陥れた。
「俺と、付き合ってくれんだよな」
「………」
「返事」
黙る俺に、またボスザルの顔が近付いてくる。
唇を微かに触れ合わせ、黙る俺の上唇を舌で軽くなぞってくる。
また、ビリビリと下半身に電気が走った。
「おい、返事」
「え、と…」
ノーなんて言うつもりはない、当たり前だ。
ただな、ただ、この状況でイエスと返事をしてしまえば、確実にもうなんていうかそういう事をされてしまうのは目に見えてるじゃないかだって。
それがわからない程俺も鈍くないしバカじゃないし、ボスザルもそれをわかってると思うんだ。
そしたらだよ?そしたら、ここでイエスと言うって事は、どうぞ召し上がれ的な非常に破廉恥な意味をも含んでしまう事になるんだよおわかりですか皆様。
だから簡単にイエスって言えないんだよわかりますかこの俺の葛藤が…っ!!!
「おい、何で考えてんだよ」
「あの、いえ、や、考えて、は…、いませんとは言えないですけど…」
「は」
目の前の眼が、瞬く間に険しいそれに変貌し、俺は竦みあがった。
「ちちちち違います!!あの、だって…っ!!」
最速涙目になる俺に溜め息を吐くと、ボスザルは拘束していた俺の手を離し、変わりに両手で俺の頬を包み込んだ。
「エッチな事されんの、恐いからか」
「っ、…は、い」
「お前の気持ちはわかった。とりあえず返事だけ聞かせろ」
鋭い眼光はもうどこにもない。
あるのは、さっきと同じような柔らかい笑みだけ。
俺は、それに騙されるかのように静かに頷いて。
「あの、よろしくお願い、し、ます…、っ」
そう返事をした途端噛み付くように激しく口を塞がれた。
ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待ってー!!
だ、だだだめですって本当に、俺、ああもう死ぬ!!
羞恥で死ぬ!!
「ん、あ…っ、ま、って…!」
「もうかなり待った」
「ちが、あの、俺…、っ、ひっ…」
男なんですけど!!
豊富な胸なんてないのにどうして乳首とか触るんですかおかしいですよね!?
てか何でこんな感じてんの俺。
女じゃないのに、乳首触られて気持ちいいとかおかしくないか。
おかしい、絶対おかしい。
ああああもう嫌だ自分が嫌だ絶対病気だ俺本当に死にたい。
「う、あ、いやだ、やだっ…」
両方の乳首を、手と舌で愛撫されて首を振り乱す。
思いっきり反応してる下半身に死にたくなりながら、俺は軽蔑されないかと、ただその不安だけを胸にボスザルからのセクハラをこの身に受けた。
「何が嫌なんだよ、しっかり感じてんだろ?」
と、そこに手を伸ばされた瞬間涙が溢れる。
「祐介?」
「も、やだ、っ、変だ、おれ…、おかしっ、」
自由になった両腕を顔の前で交差し、泣き顔を隠す。
からかうようなボスザルの言葉も恥ずかしくて嫌で、俺はなかなか素直に行為を受け入れられなかった。
「変じゃねぇって。だったら、お前に触るだけで興奮してる俺はどうなるんだ」
片方の腕を顔から剥がし、そしてボスザルは俺の手をそのまま下の方に導いていく。
手が、硬い何かに触れた。
と、思った瞬間俺はバッと腕をボスザルの手から引き抜いた。
「わかったろ、同じだよ、俺も」
お前に触りたくてたまんねぇ、と、耳元に熱い息がかかる。
もう俺は、全ての血が顔に集まったんじゃないかと思う程にボンボンに真っ赤になりながら、それでもゆっくり降りてくるその唇に目を閉じた。
「ちょっとでいい、味見」
また囁かれたと思ったら、スッと緩められたジーパンの下に手が滑り込んでいく。
それはそのまま下着の中にまで進入し、俺のそこをボスザルの手が直に握り込んだ。
「ひっ、あ…ッ」
反射的に腰が浮き、喉が反り返る。
死にそうだった。
「あ、あッ、や、だ、いや…ッ!」
「しっかり濡れてるけど、いやっておかしいだろ」
「う、んッ、あ、ぁ…っ」
自慰行為というものを俺だってした事はある。
だから、そこが勃てば先から何が出てくるのか、よくわかってた。
でもこれは尋常じゃない。
だって、ボスザルの手がローションでもつけたみたいに凄い滑ってる。
おかしくなりそうなくらい気持ちよかった。
「あ、ぁッ、やめ…、ん」
「やめるわけねぇだろ、屋上での恨み、晴らしてやるからな」
屋上の恨み?って…。
意味のわからない言葉を吐かれ、そして深くキスをされる。
手は変わらずに俺のそこを刺激し続けて、正直もうイキそうだった。
先端から溢れんばかりに出てるんだろう先走りが、ボスザルの手を汚してるんだと思うと羞恥で死にそうだ。
舌を絡める余裕もない程に声を上げながら、俺はボスザルの首に両腕を絡めた。
「ん、あッ、お、れ…、」
「何だよ…」
「へ、ん…、や、ああッ…!」
突然強く扱かれて、悲鳴に似た声が喉から競りあがってきた。
もうダメだもうダメだもうダメだ!!
「い、く、やッ…、ぃ、く…ッ」
血が全身からスッと引いていくような感覚に、首を必死で左右に振り乱す。
そして引いた血液が、全て下半身に送り込まれて。
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