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とりあえず輝彦さんのマンションを今のボスザルは知らないわけだから、仕方がないから俺と輝彦さんでボスザルの元へと向かう事になった。
そして何故か大魔王も一緒。
いやアナタいらないです。
心の底からいらないですから帰って下さい。
とは言えず、3人でボスザルの部屋の前を陣取った。
「祐介、拳聖とは俺一人で話をつける」
「…え」
だからもう帰っていいぞと言われて、俺は激しく抵抗した。
「心配するな。俺はこう見えても社会人だ。お前が不安になっているような事態にはならない事は約束する」
「………」
「真生、祐介頼んだぞ」
「はーい」
えらく素直な大魔王だなと思ったけど、キレてる輝彦さんには逆らえないんだろう。
行くぞと手を引かれて、俺は仕方ないから渋々その場を去った。
川沿いを二人で歩きながら、ふと立ち止まる。
このままマンションに帰ったってそわそわして落ち着かないのは目に見えていた。
だから、この辺で時間でも潰してから帰ろうと俺は川の方まで降りる事にした。
「バカ介、何やってんだ」
「真生さん先帰っていいですよ」
「あ?そんな事したら後で輝彦に怒られんの俺なんだけど」
「じゃあ付き合ってください」
「ったく…」
舌打ちしながらも俺がいる場所まで歩いてくる大魔王を確認すると、川の目の前までいってその場に腰を下ろした。
手元にあった小石を掴んで、川の中に放り投げる。
「お前もさー、めんどくさい男好きになったよなー」
俺の隣に腰を下ろしながら、大魔王はぼそりとそんな事を呟いた。
「別に俺はめんどくさくないです」
「お前…、頭おかしいな」
アナタにだけは言われたくありませんがね。
「おかしくてもいいです。俺は、あの人の事諦めたくないから」
「気持ちはわかるけどさー」
「真生さんは、輝彦さんが記憶なくしたら、めんどくさいって諦めるんですか?」
「………」
「諦めないですよね?俺も同じです」
「バカ介のくせに生意気だな」
二人で揃って小石を川に投げ入れる。
正直、投げ出せたらどんなに楽だろうかと思う時もある。
でも、たとえ楽になれたとしても、そこにあの人がいないなら俺は楽になんてなりたくない。
苦しくてもいいから、あの人の傍にいる方がずっと幸せだと思えた。
強がりでも嘘でも何でもない、それは俺の本心だった。
「てか、昨日すげー激しかったろ」
「………」
「お前の話聞いてさー、もし輝彦がって考えたらめちゃくちゃ苦しくてたまんなくてな、ほぼ俺から襲って後はその気になった輝彦に散々弄られた」
「………」
何そんな自分の恥ずかしい部分をあっけらかんと人に話してるんですかバカなんですかこの人。
大魔王だけに羞恥心とか皆無なんだろうな。
「ま、真生さんて、恥ずかしいとかそういうの、」
「何それ美味しいの」
「ですよねー」
溜め息を吐いて立ち上がり、俺は足元に転がる大きめの石を頑張って川に投げ捨てた。
ああ、こっちも忘れていた。
「祐介、どうしたんだその顔と首…」
「ええええっと、こっちは野良猫に引っかかれてこっちはへびに噛まれた」
「昨日学校を休んだ理由はそれか」
次の日、迎えに来た真弓は開口一番当然なのだが俺の顔を見て目を見開き、そして足元からドス黒いオーラを漂わせ始めたので俺は慌ててそれを掻き消そうと朝から必死になった。
「ま、真弓!!俺の目を見ろ!!」
「………」
「こ、この目が嘘を言っている目に、」
「見えるが」
「…………」
「俺は言ってあった筈だ。お前の体に痣が一つでもついたら俺の好きなようにやると」
「ま、真弓くん、あのだね、」
「痣どころかそれはナイフで切りつけられた傷なんじゃないのか」
「………」
鋭すぎてもう何も言えない泣けてきた。
「!!ま、ままま真弓!!どこへ行くんだ待たないか!!」
ああもうダメだ…。
完全に魔人化してしまった。
真っ黒な影を背負って、真弓が玄関から出て行こうとするのを黙って見る事しか出来ない俺。
しかしここで行かせたら学校の屋上は間違いなく血の海になる。
それにボスザルはまだ完全に傷が治っていないんだ。
うんごめん、色々焦ってるけど一番心配なのはボスザルの体ですすみません。
アタフタしていれば、奥から輝彦さんが姿を現した。
「真生の弟、なんだっけ、剛か」
輝彦さんの呼び止めに、真弓は素直に首だけを捻りこちらに視線を寄越した。
「あの男には昨日俺から話してある。それと、祐介の傷は拳聖がつけたんじゃないぞ。結局祐介を助けたのはあの男だから、あまりそう牙を剥いてやるな」
ナイス輝彦さん…っ。
真弓の視線は輝彦さんから俺へ。
まだその顔はまったく納得のいっていないものだったけど、とりあえず特攻する事だけは堪えてくれたようだった。
俺の体からほうっと力が抜け落ちる。
「祐介、次はない」
「……はい」
本当にもう心の底から危ない行動は取らないようにしよう。
俺は心に固く誓った。
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