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その日、先輩は帰ってきた。2人の家に。
だけど机に置いてある夕飯になんて目をくれず。
「なあ、昼間俺よりちょっと背が低いぐらいの女性来なかったか」
「うん、来たよ」
「そいつから荷物預かってるって聞いたんだけど。どこ」
…もう、僕に目を向けすらしない。
「ここだよ」
そう言って、預かった時計を先輩に渡す。
「ふっ、あいつ…こんなの貰ったらお返し大変じゃねえかw」
ああ、嬉しそうな笑顔。
もうずっと見れてなかった笑顔。
_本当は、こんな時計壊したかった。
こんな…見るからに本命のプレゼント、なんで僕が渡さなきゃいけないんだ…。
そうは思っても実際行動に移すことなんてできなくて。
これが高級品だから出来ないだけなんだって変な言い訳を自分に言い聞かせた_
…うん、決心ついた。
先輩を笑顔にする役目は、これからも僕だって信じたかった。
でも…もうとっくに役目なんて終わってた。
終わってたことに気付かないふりを続けてた。
「…先輩、お風呂入りますか?お湯沸かしてきますけど」
「あぁ、いやまたすぐに出かける。それと明日は帰ってこないから」
「…分かりました」
お風呂に入ろうと部屋に戻り寝間着を取り入った時、玄関が空いた音がした。
先輩が出ていった。
「…っ…あそこ、で泣かっ…なかったの…えらくないっ…?」
ああ、流れてしまう。
僕の想いが。
この涙と共に、どこかへ流れていってしまう。
…昔は、先輩も僕のこと好きだったって信じていいよね。
その思い出だけ、この部屋に置いていくね。
すきです、いや好きなんて言葉じゃ足りたいくらいに愛してる。
多分、これからも。
今日はお風呂はいったら、すぐ寝よ。
そしたら、明日には新しい生活が待ってる。
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