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蒼太side
なんだか心にぽっかり穴があいたみたい。
あの家から離れていく度、足がすくむ。
もう、先輩に振り回されないで済むんだ。
もう、あんなに辛いこともないんだ。
だから、
だから、
なんで泣いてんだよ、僕。
早く
早く
アパートに着きたい
あの家から離れたくて遠めの場所を選んだのが良くなかったかな。
歩いても歩いても、全然着かないや。
…僕が家から居なくなってるの見て先輩はどう思うかな。
なんとも思わないかな。
…そうだよね、だって結局僕は先輩の中に何一つ残せなかった。
いつの間にか、簡単に切り捨ててもいい人に成り下がってた。
だから、結局僕はその程度の存在。人間。
周りの大人が僕から離れるように
先輩も離れてくんだ。
「…人なんて、信じるじゃなかったな」
…ずっと、ずっと、1人でいればよかったんだ
そしたらこんなに傷つくことは無かった。
悲しくなることもなかった。
人なんて信じられなかった僕が。
信用なんてしなかった僕が。
貴方にだけは本気で…
貴方にだけは…許してたのに。
…なんて、ただの言い訳に過ぎないのかもね。
_ 小一時間かかって、やっと新しい家に辿り着いた。
…この扉を開けたら、本当に戻れない。
まだ、希望を捨てられない。
いるはずもないのに、後ろを振り向く。
「…知ってるよ、知ってる」
元々、先輩はこの場所すら知らないんだから。
だから、
後ろにいるはずもないんだ。
戻れない、
ううん、
戻らない。
僕はゆっくり鍵穴を回した。_
僕だけの家。
そう認識すると、少し心に余裕ができた。
「…家具は別になくてもいいし、キッチン道具とかは明日でいいかな」
あんまりお腹すいてないし。
ああ、そういえばあの家に服置いてきたけど鍵も置いてきたから取れないじゃん…。
…まあいいか。
「ベッドもないし、今日は雑魚寝だな…笑」
…先輩。怒ってるかな。
勝手に家出て。
…だめだ、暇さえあれば先輩のこと考えちゃう。
「…気分転換に買い物でもしてこ」
最近、レジ袋も有料になったからいつもは買い物袋持っていくけど、持ってきてないしな…。
仕方ない、か。
財布だけ持って、っと。
確か近所にスーパーあったはずだからそこ行こ。
願わくば、物価が安いスーパーでありますように…!!!
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