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ぐるぐる回る。
彼の顔。先生の顔。僕の顔。
映画のスクリーンを見ているかのように過去が映っては消える。
もう頭痛い。
そんな見せられなくたって分かってるよ。
もう何も映さないでよ。
僕は横になり、静かに目をつぶった。
翌朝目が覚めると…
「あぁ、これ完全に熱でた…」
妙な倦怠感。荒い息。ぼやぼやする視界。
その全てが熱という結論を示していた。
「えっとぉ…熱でたら、何するんだっけ…、ああ体温測って、それで、えっと、薬飲まなきゃ…」
だるく重たい体を無理やり動かして家から持ってきた1つのコップに水道水を注ぎ込む。
水が喉を流れ込む感覚が気持ちよくて、これだけで0.何度かは下がった気がする。
「…体温計なんか、持ってきてないよ…」
今から外で買わなきゃいけないのか…。
辛いな、動きたくないや、でも、
明日はバイトなんだ。
長引かせるわけにはいかないよね。
やっとの思いで外行きの服に着替え、ふらふらになりながらアパートを出た。
「…うう〜…寒い…」
今は冬。
どれだけ着込んでも寒さが肌に刺さる。
なのに、熱のせいで寒いのに暑い。
汗はびっしょりで今すぐ服を着替えたい衝動に駆られた。
「……あ、あった」
前に行ったスーパーだと人が多くて移しちゃうかもと思ってちょっと遠いけどコンビニに来てよかった。人が少ない。
「とりあえず、体温計と…マスクも買っとこう。あとは…」
自炊の用意ができるまではお湯を注ぐだけの簡単なのを食べて過ごそう。そう思ってだるい体に追い打ちをかけるように買いだめをした。
「…あれ?風上さん?」
「え?あ、先生…!」
なんと偶然。葉山先生とコンビニ前でばったり!
「何だか具合が悪そうですね、風邪ですか?」
「あ、いえいえただの熱です…って前日に熱出しちゃったら明日行っちゃダメですか…?」
「……っ!…あ、ああ、大丈夫ですよ。それで風上さんはもう病院には行かれましたか?」
「まだ…とりあえず必要なものだけでも買おうと思って…」
「それじゃあ、うちへ来てください。往診しますよ」
そう言うと、僕の買ったお世辞にも軽いとは言えないレジ袋たちを僕の手から取り反対の手に持つと、もう一つの手は僕の手を握った。
「ぅえっっ!!!!」
「嫌、でしたか?」
「あ、いえいえそんな…で、でもそれ重いですよ?」
「ああ、別に重たくはありませんがそれでも病人に持たせるわけにはいきませんのでね」
_ってそっちを聞きたいんじゃなくて、えっと、えっと、…
「な!なんで、手、繋いでるんですか…?」
「…そうですか、風上さんは私と手を繋ぎたくないんですね…」
「えっ!いやぜんっぜん!!そういう訳じゃなくて…!」
「なら、いいじゃないですか?」
「え、い、いいの…かな」
「ふふ、本当に騙されやすくて心配になる」
「え!騙してたんですか?!!」
「あははっ!!ばれちゃいました?」
「〜っ!もうっ、先生のばかっ!!」
「風上さんに言われるならばかでもありですね…」
「はっ?!な、何言って…」
「私の独り言だと思って聞き流してください、ほら、行きますよ」
_先生って、僕のことばかにしてる気がする…
むむむ…でもそれが楽しいとか思っちゃったり、、
熱は下がってないけど気持ちは楽。
なんだか先生のそばにいると僕は僕らしくいれてる…
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