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葉山side
第一印象は…危なっかしい子。
普通にスーパーで買い物をしてたら近所であまり見かけない人がいた。
楽しそうに物色して、目をキラキラに輝かせていて、なんだか子犬みたいで思わず口角が上がった。
だけどスーパーから出る時、不意に目にハイライトが無くなって。
それはまるで今から自殺でもするような、危ない目だった。
だから声をかけた。
このまま帰られちゃ自殺してしまうかもしれない。
そう思って病院へ誘った。
これ完璧に変質者だよなぁとか思いながらも素直に付いてくるのが可愛くて、病院まで少し遠回りした。
見た目の割に濃密な人生経験を詰んだその人は、まるで他人の人生を話しているかのごとく、淡々と話し始めた。
自己肯定感の低い人は、依存しやすい。
きっとこの子も知らない内に先輩さんへ依存しているのだろう。
だからこっちを向いてくれなくても離れがたい。
いつか見てくれると先延ばしにしてしまう。
この子は儚く脆い。
そして…魅力的。
この子を独り占めにしたい。そう思わされてしまう。
この子は薔薇の花。
近付きすぎると怪我をする、危険な華。
なのに…近付きたいだなんて、まるで…
恋してるかのようだ。
働きたいなんて言われた時はびっくりしたけど、この子を傍に置いておきたかった。
私の目の届く範囲にいて欲しい。
そう衝動的に思わされ、本当は人数は足りているのに許可をした。
この子の傍にいると、自分が自分じゃなくなりそうだ。
翌日、コンビニで君と会った。
ふらふらして目が虚ろで、医者として放っておくことは出来なかった。
でも手を繋ぐ必要なんてなかった。荷物を持つだけでよかった。
なのに、その白い手に触れたいと思った。
体温を感じたいと思った。
私は…俺は、変態かもしれない。
また、正常じゃない。
診察をしたら帰せばよかった。
どうして家へ呼んだ…?わからない。
だけど、もっと一緒に居たいと思った。
わからない、
だけど1つの答えに辿り着くと、ストンと腑に落ちた。
醜い独占欲、束縛欲。
そして相反するキラキラした甘く蕩けそうな感情。
好きというにはどす黒く、愛というには足りない。
ただ俺は、風上蒼太に惚れている。
そう自覚した。
彼の思いをこちらに向けたい。
だからあんな告白まがいのことを言った。
今すぐにでも奪いたい。
だけど、それじゃ彼の心は手に入らない。
いつか彼の中から先輩という存在がなくなって、俺でいっぱいになった時…
それまで俺は…私は、待っていますよ。
「おやすみなさい、蒼太さん」
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