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翔太side
あの日から六日後。
久しぶりに家に帰ると、埃が舞っていた。
ああ、出ていったんだなと納得する反面
どうしてもっと大事に出来なかったのだろうと後悔が渦巻いた。
机の上には1つの封筒と、鍵。
窓を開け、換気して、心が落ち着いた頃、やっと封筒に手を伸ばした_
【先輩へ。
こうして文字にして伝えるのはなんだか少し照れてしまいます。
そんなこと先輩にとっては興味のないことかもしれませんが、少しだけ昔話をさせてくれませんか?
僕が先輩と会ったのは高校生の時です。覚えていてくれていますか?
弓を打つ先輩の姿はとても素敵でした。
あれから数年、幸せだったあの頃が蜃気楼のように記憶から抜け落ちていきます。
初デート、初キス、初のセックスだって、鮮明に覚えていたはずなのに、今ではもう先輩がどんな顔をしていたか思い出せません。
先輩はどんな風に笑っていましたか?
最近は、頬ひとつ動かないような顔しか見ていないような気がします。
先輩が浮気していると知った日は先輩の誕生日の日でした。
寝床に女性を上げていましたね。
ああやっぱり男は女に叶わないんだと思い知った日でした。
昨日、先輩が家に久しぶりに帰ってきた時本当に嬉しかった。(これを読んでる頃には昨日じゃなくなってしまっているのかもしれないけれど)
だけど先輩はプレゼントを取りに来ただけ、僕のことなんて眼中にも入っていませんでした。
それまでは先輩と離れる方が辛いんだと思ってました。
違いました。
きっと僕は先輩の傍にいればいるほど脆くなる。
もう、やめにしたいんです。
あなたのいない間に家を出ていくことをお許しください。
話し合おうともせず逃げる僕を許してください。
ただ一つ、僕は
先輩のことがずっと、
あなたが思うよりずっと、ずっと
好きでした。愛してました。
みれいさんとお幸せに。
風上蒼太より】
「……っ、ばかだよ…蒼太…」
こんな最低なヤツ、どうして好きになったんだよ…。
幸せに…_なんてお前を傷つけた俺がなれる訳ないだろう?
封筒の文字が所々歪んでしまっている。
あいつの涙なのか、それとも俺の涙なのか、
混ざりあってわからない。
「…ああ好きだ……俺だって、愛してるんだ………」
ああ、口にすればこんなに簡単なことなのにどうしてお前は俺の隣にいないんだろう…
なあ蒼太。
またお前を好きになった俺を許してくれ
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