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完結後の世界 =6(ひとつの恋路と隠された思惑⑨)
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「…ん………ふぁあ…もう朝か」
真守が帰った後いつの間にか眠っていたみたいだ。
ベッドの下では早く飯をくれと言わんばかりのお座りしてるわんこ。
慣れた手つきで餌を用意し自分の朝食も準備する。
今日は真守と学校行って、透と話して…出来れば決着つけて…
明日は翔太さんとデート。
喜びたいけど透のことがある手前、中々素直に喜べない。
かと言って仕事で忙しい翔太さんに相談なんて出来やしない。
「…会いたい」
明日会えるのに今、会いたい。
頑張ったねって褒めて欲しい。
頑張れって背中押して欲しい。
「好き、なんだよなぁ……」
どうしようもないくらい貴方に惚れている。
「はあ……………ってもうこんな時間?!やばっ……」
時計はそろそろ午前8時を示そうとしていた。
「えっと…火元よし、水回りよし、電気もよし、めろんは…うん、ゲージに入ってるな、ちゃんと水も餌も補充したし、あとは鍵締めだけ…か」
もう家を出ようとした時、インターホンが鳴り響く。
「あ、きた」
_ガチャ
「真守、おはよ」
「ええおはよ…って髪の毛凄いわよ?寝癖くらい治しなさいよ」
「いやぁちょっと時間なくて」
「…ま、そこまで気になんないから大丈夫ね。行きましょう」
「らじゃー!」
約束通り、真守と学校までの道を歩く。
それは時間割の話だったり、せんせーの話だったり、どうでもいいような内容ばっかだったけど、こんな話を普通にできる友達って最高だなって思う。
靴箱に着いた時、透は居なかった。
「今日は来ないのかしら…」
「かも、ね」
どうしよう。透が居ないことに安心した…
友達をそんなふうに思ってしまう俺が憎い。だけどもう親友じゃないからそれでいいのかもしれない、とか変なことばかり考える。
こうして透の話をしていた時、横を誰かが通る。
自然と頭をあげると、
いつものポーカーフェイスな透がいた。
そしてゆっくりこちらを見て…__
その目を見ると、どうしても昨日の光景がフラッシュバックする。
俺を嫌いと言ったあの口を。
俺を殺すことに躊躇をしないその腕を。
俺を恨むその目を。
「……ッ…は、ぁ…はぁ……ッ…は」
苦しい。息が苦しい。空気を吸えない。ねぇ、助けて。お願い、
俺をそんな目で見ないで
_そこで俺の記憶はプツリと消える。
意識が遠のく瞬間、俺に必死で呼びかける真守の声が聞こえた気がした。
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