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完結後の世界 =6(ひとつの恋路と隠された思惑⑪)
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「ま、待って…何か……何か思い出しそうなんだ…俺が今まで忘れてた何かが…」
_そう、確かに家にあったんだ。ゴルフバッグは。
だけどいつ無くなった?
朧気すぎて記憶を辿れない。だけど…
えっと、あれは確か…
『ママ、今日どこ行くの?』
『え………透くんのとこのお母さんたちと遊んでくるのよ。だから凪はお留守番しててね』
『えー!!じゃあ僕も行きたい…』
『だめよ…今日は大事なお話があるの』
『む……じゃあアイス!買ってきて!!』
『えぇ、買ってくるわ』
_そう、あの日暑くて、お母さんにアイス強請ったんだ。
「あ、そうだ、アイスだ」
「……は?」
急にアイスなんて叫んで透からも真守からも変な目で見られる。
「確か透ん家の親とゴルフ行くんだって言ってた…でも俺、その時留守番しててって言われて…」
「…なに?じゃあ結局、凪の親が殺したんでしょ」
「いや…わかんない、けど…あ!!今、親に連絡とってみるから!それで確認しよ…」
そうだよ、なんでそんなことに頭が回んなかったんだ…
ふつうに親に連絡すればいいだけじゃん…
でもこれで、本当にそうだったら…
「…………じゃあ、掛けてみれば?」
「う、ん」
_プルプルプル…プルプルプ…
出た。
「…あ、母さん?」
「なーに?凪が連絡してくるなんて久しぶりじゃない」
「あ、そうだね…あの、聞きたいことがあるんだけど」
「んー?」
「………透のお父さんの行方…知ってる?」
「………………………………知らないわね。ねえ凪、誰からその話を聞いたの?」
「…え………」
急に声が怖くなった気がする。
「ふ、つうに透から…」
「そう………透くんから何を言われて何を吹き込まされてるのか知らないけど、私たちは知らない。それが真実よ。そこに透くん居る?変わって欲しいの」
「わかった…透、母さんが話したいって」
「……………貸して」
「あ、はい」
_そこから透は返事をするだけで母さんが何を話しているのかは分からなかった。
「……これ」
そうやって考え込んでいるといつの間にか電話は終わっていて携帯が手の中に戻ってきた。
「あ…母さん、何か言ってた?」
「お前は知らんくていい」
「……そっか……」
「ちょっと?!凪が落ち込んでるじゃない!!!」
「知らねえよ。さっさとご機嫌でも取れば」
「なっ…!!!!!あんたねぇ!」
「い、いいよ!!真守、もう、いいよ」
「でも凪…」
これは俺の親と透の問題。俺が口出すことじゃない。
分かってはいるのに、苦しい。
そうこうしている間に透はもう屋上から姿を消していた。
「あたし達も戻りましょうか。凪」
「うん、そうだね」
透と昔みたいに笑いあうことは出来ないのかな_
【ひとつの恋路と隠された思惑】第1章
〜完〜
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