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金色の瞳のチェシャ猫のお話15
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両者は、今にも殺し合いを始めそうな程にらみ合っていた。
「ストップです」
黙って2人の会話を交互に見ていた天花は堪え兼ねて声を出した。
「てめぇは、関係ねぇだろ。殺すぞ」
ミケがそう言って天花を制すが、チェシャが言い返す。
「なんだ!偉そうに!黙れっ!」
「はいはい…ストップストップ」
チェシャの頭をぐりぐりと撫でて大人しくさせた天花にミケは驚いていた。
「ミケさんと仰られるようですね…初めまして、私この寺社で住職をしております、天花と申します」
天花は、丁寧にミケに挨拶をした。
「は?」
ミケは、きょとんとしていた。
「御見受けするに、チェシャの同僚と御察し致しますが…いつも愚人がご迷惑を御かけしているようで、お世話になっております」
丁寧な言葉を使う天花に、ミケは黙って聞いていた。
「この度は、チェシャが大変ご迷惑を御かけしているようですが、チェシャは私を助けるために、この寺社を訪れてくれておりまして…」
え?
と、チェシャは天花を見た。
「実は一週間ほど弟子の僧に暇を与えなくてはならず、その手伝いをするために、今回訪れてくれているのです」
いつそんな話だった?
と、チェシャは 思ったが今は大人しく天花の話を聞く事にした。
「手伝い?」
ミケは怪訝そうに眉間に皺を寄せた。
絶対、嘘だとミケは思いながらチェシャを見た。
「はい。明日から一週間、僧に暇を与えなければならず、しかも別の僧も入院しておりまして、私一人でこの寺社の勤めを果たさなければならないのです…」
確かに、明雪と花風に暇を与えるという予定はあったが、引き延ばそうかと思っていたところ、チェシャが来たので、手伝わせようと思っていた。
これを口実にすれば良い。天花が考えていただけなので、チェシャは驚いていた。
「…その手伝いとやらは、どんくらいかかんだ?」
一応、ミケも話を聞いてくれていた。
「一週間と一日です」
要するに8日間。
ミケは、何かを計算したらしく、条件をだす。
「じゃあ、俺が8日間は我慢してやるよ」
すると、天花はふっと微笑む。
「有り難う存じます」
「そんかわり、9日後にはチェシャを元に戻すからな」
「かまいません」
「ちょっとっ!」
天花はにこやかに、チェシャを見た。
「御優しい友人を持てて、幸せですね」
天花は、両手を合わせてお辞儀をした。至極にこやかに…
という一悶着があって、ミケとチェシャは天花と一緒にいる。
「っていうか、お使いしてきたのに、門は閉められてるし…って、飯は!?」
遠くの寺社まで、お使いを頼んだチェシャは、今戻ったようだ。
「ああ、もう喰ったよ」
あっさりとミケはそう言った。
「はぁあっ!?」
そういって、チェシャは天花を見た。
「…すまん」
ミケが、『遅くなるから先に食べようと』と言っていたので、なにか連絡が来ているものと思っていた。チェシャは頬を膨らませた。
「もういいっ!」
ふいっと、どこかへ行ってしまう。
「あーあ…あと、頼んだよ。俺、片付けあるし」
ミケは肩を竦めた。
そして、膳を持っていった。
チェシャもそうだが、ミケも大概自分勝手なヤツだと天花は思った。
「…」
これは、俺が悪いのか??
とも思うが、仕方が無い。
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