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金色の瞳のチェシャ猫のお話16
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10分ほどして、部屋に帰ると端っこによった布団が盛り上がっていた。
チェシャは、1人で部屋の真ん中に寝る事を好まない。だから、端っこに布団を寄せて寝たり、うずくまったりする事が多い。まだ、修復が間に合っていない部屋は、お化け屋敷のようだ。
「チェシャ」
握り飯と、みそ汁と暖かいお茶を持って部屋へ入る。少し離れた所にある机の上にそれ置く。完全に不貞寝しているチェシャの元へと近づく。
「オニギリを握ってきたぞ」
布団に触れる。
「…」
「チェシャ、起きれるか?」
布団の端が捲れ、不貞腐れたチェシャが現れて、天花はおもわずクスリと笑う。
「…何笑ってんだよ」
むっと唇を尖らせて不機嫌なチェシャに、天花はいう。
「お前が、可愛くてな…つい」
そう言って、頭を撫でる。
誉めていないのは分かっていたので、チェシャは殊更にむくれる。
「美雪の馬鹿っ」
チェシャは甘えるように、天花に抱きつく。
「…ミケに絆されたのかと思った…」
チェシャは、不安を吐露する。
「そりゃーミケは、顔もいいし、頭もいいし、変装も上手いよ。…でも、ゆきちゃんを好きなのは僕だもん」
天花は、チェシャの頭を撫でる。しおらしく、不安がり嫉妬する姿に、天花は心が締め付けられる程の愛おしさが込み上がる。
「それに、ミケは…っ!」
ぐぅと、チェシャの腹が鳴る。
「ふっ…チェシャ今は、とにかく飯を食え」
天花に促されて、チェシャはいつものように天花の足の間に座って天花の握った大きな握り飯を頬張った。
「…浮気したら、殺すからな」
チェシャは、低い声で釘を刺す。
「はいはい」
天花は笑って、握り飯を頬張るチェシャの頭を撫でた。
「おい!聞いてんのかっ!」
チェシャは、金色の瞳を大きく開けて怒っている。天花は、怒っているチェシャを穏やかな目で見つめている。
「何てめぇ笑ってんだよっ!」
「笑ってないだろ」
「…!」
揶揄われていると思っているチェシャは感情的で可愛い。
「じゃあ、ニヤニヤすんなっ!」
顔を赤くしながら、モゴモゴと口を動かしている。
まるで、小動物のようだと思うが、殺すぞと威嚇された手前、やはり彼はそんなに繊細な可愛さは持ち合わせていないんだと思う。
「ニヤニヤなんてしてないだろう」
チェシャは、目を眇める。
「じゃあ、何考えてんだよ」
チェシャが天花に問う。
「チェシャの事だよ」
天花は、ミケに心を乱されるチェシャ愛らしいと心から思った。
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