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金色の瞳のチェシャ猫のお話27※
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天花は、口を上下に動かし、チェシャの性器を刺激した。チェシャは、天花の性器から手を離した。
「…!?」
天花も、チェシャの性器を離す。チェシャが、突如天花の上に乗る。
「美雪」
チェシャの髪が、顔を覆っている。
声に余裕は無く、どこか焦っているような怯えているような感情がこもっている。
「…チェシャ?」
天花は、チェシャの髪を耳にかけてやる。
「ゆきちゃん…」
チェシャの金色の瞳に美しく光りが入る。それは、月明かりのような穏やかなものではなく、チェシャの涙だった。
「どうした?」
ポタリ、ポタリ…
開けた天花の腹にチェシャの涙がしみ込んでいく。天花は、チェシャの頬を掌が拭う。温かくて、大きくて武骨な指だ。
「さっき、ゆきちゃんがホントに死んだかと思ったの」
「生きてるだろ?」
「そうじゃなくてっ!」
チェシャの頬を撫でる手にチェシャは自らの手を重ねた。細くて白い手だ。少しだけ暖かみのある白い指が、武骨な大きな手を包む。
「殺し屋でも他人の死に悲歎するのか?」
天花は片方の手でチェシャの頭を撫でた。
「ちゃかさないでっ!」
「…悪い」
チェシャは、天花を大きな琥珀の目で睨む。
「ゆきちゃんが死んだら、誰がボクの葬式で読経するのさっ!」
茶化さないんじゃなかったのか?
チェシャは、至極真面目だった。
「…それもそうだな」
クスリと天花は微笑んだ。
「だから、もう絶対危ない事しないで!」
チェシャは、天花の手を掴んで小指を絡ませた。そんな事を殺し屋に言われるなんて思わなかった。何方かと言えば、危険な目にあっているのはチェシャの方だろうと思うのだが…
「ああ…悪かった。気をつけるよ」
天花は苦笑しながら、チェシャと約束をした。
「誤摩化さないで、ちゃんと約束して!…うわぁっ!」
天花はチェシャを押し倒す。
「お前が死んだら読経をする約束だろ?」
「もうっ!!分かってないじゃんっ!」
天花はチェシャのパンツの紐を解く。チェシャの萎えた性器が露になる。
「んんっ!ゆきちゃん!ちょっ…今、真面目な話して…んっ!」
それをやわやわと揉みしだくと、チェシャの性器は硬さを取り戻した。
「真面目な話はもう終わり」
ゆきちゃんらしくない…と、チェシャは天花を見上げた。
「ゆきちゃ…」
「チェシャらしくない」
「えっ…?」
天花の低い声。
「今は俺に集中しろ」
チェシャの心臓がぎゅーっと締め付けられるような気がして、天花から目が離せなかった。
天花の仏を歩む道からほど遠い表情。まるで、野性的で獣のような獰猛な生き物。殺気になれているチェシャの心がささくれ立つほど人ではない何か別の凄みを感じる。背筋がビリビリして、全身が総毛立つような緊迫感。普通の人が出す緊迫感とは違う。赤熱をもった喉元に鋭利な刃物を突きつけられているような圧迫感。
「…」
チェシャが思わず我を忘れて惚ける。天花の雄としての表情に心から奪われていた。
「好き」
「は?」
チェシャの頬が、かーっと赤くなる。目元が潤み口元を覆う。
「もっとその顔して」
雄を剥き出しにした天花の表情に、チェシャは興奮した。
「…」
こういう時のチェシャは大概ろくでもないことを考えているのは、天花は充分知っている。だが、そんなチェシャを好きな自分もまた、ろくでもないヤツなのだと思う。
「アホだろお前」
天花が飽きれるとチェシャは元の表情に戻る。
「それじゃない!」
語尾を強めると、チェシャは言う。
「もっと、雄っぽいゆきちゃんが良いの!」
雄っぽいって…天花は、すっかり元に戻ったチェシャにいう。
「なんだそれ」
くすりと天花はチェシャに唇を合わせた。
「んっ…」
天花が唇を寄せるとチェシャは直に唇を開いて天花の熱い舌に自らの舌を絡ませた。 天花はまるで炎を内部に秘めているような気がする。その熱い唇も、舌も、身体も…全てが熱くて、溶かされる。
「あぁんっ!」
チェシャが、天花の首に自らの腕を絡ませ、引き寄せる。
「ゆきちゃん…入れてよ」
まだ熱が足りない…天花を拐かし誘惑する。
「ゆきちゃんが欲しいの。いっぱいして欲しいの。ゆきちゃんが好きなの!」
未熟で、単純な言葉。安易に挑発する。
チェシャの長い指が、天花の首筋から毛の無い後頭部を撫でる。まるで、不思議な感覚を弄んでいるかのように。ゾクゾクと背骨から腰が疼くのは、チェシャの安易な挑発に乗せられている証拠ではないだろうか。
「いつも…」
天花は、チェシャの髪を撫でる。チェシャはどきりとした。
「今日こそは、お前の挑発に乗らずにいようと…思うんだがな」
チェシャの膝の裏をもって、天花はゆっくり瞬きをした。
「やっぱり叶わないな」
諦めたような、困惑したような…
「そんなボクが好きなんでしょ?」
追い打ちをかけるような言葉。
「当たり前だろ。好きじゃなきゃ…」
と、言いかけて止まる。
「何?」
「いいや…」
天花は口ごもる。
「何?言ってよ」
チェシャに促された天花の瞳の色は袈裟のように漆黒で、その奥に炎を滾らせている。雄としての本能のような、勢い良く燃え盛る炎だ。
「好き…というより、愛してるかな…?」
「えっ…!?」
天花の突然の告白に、チェシャは思わず手で口元を覆った。胸の奥がキューンと締め付けられるような音が聞こえた。今なら、軽く死ねるかもしれない。
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