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金色の瞳のチェシャ猫のお話29
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「こんな山奥だからな…防災用に買っておいたヤツがあったはずだ」
「…ゆきちゃん、カップラーメンとか食べるの?」
確かに、山奥なので何かあった時には必要になる事もあるだろう。
食品だから賞味期限もあるし、たまに食べて消費して、また新しいのを購入しておけば良いだけの話だ。
「なんで?」
チェシャは驚いていたが、逆に天花は疑問だった。
「カップラーメンくらい偶には良いだろう?」
「…」
別に悪いとは思わないが…
なんか、天花が言うと意外に感じてしまう。
「別に、悪いとは言ってないけどさ…」
「なんだよ?」
天花は、着崩れた袈裟を肩にかけた。
「…なんか、堕落していく、ゆきちゃんも好きだなぁーって」
カップラーメンを食べる事が堕落しているという表現に語弊があるかもしれない。
「なんだそれ?」
ただ、嗜好品とは縁がなさそうな天花がいうと普通の事でも意外に聞こえてしまうというだけの話だ。チェシャは立ち上がる天花をじっと見つめる。
「ん」
チェシャは、天花に自らを立ち上がらせるように両手を前に出した。
「はいはい」
天花はチェシャを甘やかす。
「あと、お姫様だっこしてっ!」
「はいはい」
両手を引いて、背を支えてから座らせて、膝を抱えて、力を入れる。
畳の上から、チェシャの身体が離れていく。
「わーい!えへへっ!」
チェシャは、天花の首に腕を絡ませて、浮遊感に満足そうに微笑んだ。
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