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2020年バレンタインデーの巻 8
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「だって、見たから…」
見た?
何を?
「ボクね…
人に触るとその人の過去とか強く思ってる事とかが分かっちゃうの」
霊的なものが見えるのは知っていたが、
そんな事も分かるのかと天花は思った。
「見ようとしない限りは、見えないんだけど…
偶に、意図せずに浮かんで来ちゃう時があったりするの。
そう言う時って、
その人が無意識に思い浮かべた強い記憶だったりするんだと思うんだ…
本当に触れてほしくない記憶なのに、
鮮明に他人に伝わっちゃうって、おかしな話だよね」
チェシャは、どこか苦しそうだった。
「そうか…」
天花が頷くと、チェシャが水槽の見える位置にある椅子に腰を下ろした。
お尻を撫でてスカートの布を丁寧にならして座る。
短いスカートからチェシャの細い太ももが伸びている。
天花もチェシャの隣に腰を下ろした。
「幻滅した?」
チェシャは天花を見つめた。
人の過去を勝手に見て、知っている事に…
「いいや…」
天花は首を横に振った。
チェシャは天花の肩に頭を預けた。
「そう言うと思った」
えへへ…とチェシャは笑った。
けれど、引きつっていた。
知らないふりをする事も出来たが、
天花に嘘をつくのが嫌だった。
一瞬の偽りでさえ、苦しかった。
「よくね…
人の過去を勝手に見やがって
って怒られたり、気味悪がられたりするんだ」
そりゃそうだと思う気持ちと、
決して意図的ではない能力に
翻弄されるチェシャの戸惑いのようなものを感じた。
天花に伝えても大丈夫だと思ったのは、
天花のことをチェシャがよく知っているからだろう。
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