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2020年バレンタインデーの巻 9
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「…そんなに怖がるな」
チェシャは、頭をあげて天花を見た。
「別に変えられない過去に固執する気はない」
それを探られたところで、どうという事も無い。
と、天花は思っている。
けれど、チェシャは、いくら気心しれているとはいえ、
恐怖心があったのではないかと思う。
天花が『俺の過去をみやがって!』
と逆上しないという保証はどこにもないのだ。
「…」
全く不安がなかった。
というのは嘘だ。
「…うん」
小さい声だった。
チェシャの声は微かに震えていた。
口をきゅっと閉めて天花をみる。
「大丈夫か?」
天花が、手を絡ませる。
その声が低くて安心する。
「…うん」
「出るか?」
暗い水槽の前にいるから、
もしかしたら気がめいってしまったのもしれない。
「…うん」
来たばかりの水族館を天花とチェシャは後にした。
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