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2020年チェシャがいなくなる理由1-10
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「でも、匂いは直になくなっちゃうんだ。
だから、電話して声を聞くんだけど…
それでもやっぱり、すぐにゆきちゃんに会いたくなっちゃう」
衣類に残る天花の残り香は最初は強く、
日を追うごとに薄くなって、やがては消えてしまう。
どんなに香りに包まれていても、
温もりは無く、冷たい衣類と化した下着をやがては捨てる。
そして、たまらず声を聞くが、
電話を切った瞬間から寂しさがこみ上げてくる。
もう、どうしようもなく会いたくて。
気が狂いそうなほど会いたくて。
「…」
『??』
今日は、仕事で男に抱かれた。
それは、チェシャにとっては日常だから、
仕事を拒絶する事は決して出来ない。
ただ、現実を受け入れる事しか出来ないチェシャは、
仕方なしに目を閉じて天花を想像して感じてみる。
行為が早く終わる事だけを祈って割り切る。
天花以外の誰かに愛でられても、
1ミリも心は動かず。
逆に冷めて、苛立ち、嫌悪する。
一瞬でも良いから、
なんとか天花を感じたくてあがく。
頭の中で天花を想像しているのに、
端々で現実が、天花ではない他人が別人を主張する。
目を開けて、諦めてた冷えた心が、悲鳴を上げる。
「…決めた」
『え?』
チェシャは何かをかたく決意した。
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