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2020年クリスマスの巻 パロディ編 1
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年の瀬も押し迫った クリスマスイブの夜。
礼拝堂では、1人の神父が祈りを捧げていた。
今日は催し物を全て終えて、明かりを落とすところだった。
「…ゆきちゃん」
夜も深け、窓の外はしんしんと雪が降っていた。
暖炉の火はすでに落ちており、広い教会内は寒さと静寂で空気が張り詰めていた。
「?」
まだ息が白むほどの寒さではないものの、ドアが開き、ふわりと冷気とともに人が入ってくる。
頭にフードをかぶっているが雪が積もり、近づく度に踏み締める足音は、グシュグシュと濡れた音が静かな教会内に響いた。
「…チェシャ?」
「ゆきちゃんっ」
神父は顔を上げると、少年は近づく度に服や持っている籠を捨て去って神父に近づき、そして飛びつく。
「うわっ」
神父はしっかりと薄着になった少年を抱きしめる。
「お前なぁ、自分家じゃないんだから…」
神父は、スキンヘッドで銀縁の頼りないメガネをかけている。
立襟の祭服をきっちり着ている神父は、脱ぎ捨てた薄着の少年の軌跡を見つめてため息をついた。
「だって!濡れて気持ち悪いし、ゆきちゃんにあっためて貰おうと思って、雪の中頑張って歩いてきたんだよっ!」
少年は氷のように冷たい体でしっかりと神父に抱きついていた。
「…ここもそれなりに寒いだろうが…」
「外に比べたらましだよ」
普段は血色の良い少年の顔は、死人のように色白くなり、唇も紫色に変色している。
「お疲れ様」
神父は、少年の髪を撫でる。微かに湿っぽい。
少年は今日1日マッチを売り歩いていたのだ。
神父に近づく時に放った大きなカゴには大量のマッチが入っていたが、今は1つもない。
彼が今日1日町中を歩き回って、全て売り切ったのだ。
逆にそのマッチを売り切れなければ、彼は家に帰ることは許されずに、一晩を雪の降り頻る中過ごさなければならない。
だから必死に今日はマッチを売り歩いたに違いない。
底冷えする外気にさらされ、雪が降り頻る中、街はクリスマスに浮かれ、家族団欒の暖かな温もりに包まれる。
賑やかな音楽や、暖かな装飾、幸せそうな人々を尻目に彼はひたすらに歩き回り、時に虐げられながらも、籠の中のマッチを売り切ったのだ。
その時の開放感と疲労感は神父には想像できなかった。
「よくがんばったな。お疲れ様」
神父がそう言って少年の髪を撫でる。
髪に温度はない。
「…うんっ」
少年は俯いて照れ臭そうに頷いた。
「えへへへ」
頬が染まらないのは、それほど少年の体が冷え切ってしまっているからだ。
少年は、視線を上げる。
「?」
「…今日はクリスマスだよ」
「そうだな」
そんなのは、数日前から…
いや、もっと前から知っているし、神父は今日1日その祭事に追われていた。
やっと人も帰って落ち着いたところだ。
「ボク、いい子にしてたからクリスマスプレゼントあってもいいよね?」
「ああ、まぁ」
それなら、一応準備はしてある…
と言いかけた神父の唇を少年が塞ぐ。
「…!?」
「ふっ…んぁっ…んんっ」
少年はしがみ付くように神父の唇を塞いで、舌を絡める。
冷たい唇と口腔に、神父の心が切なくなる。
こんなに全身冷たくなるほど1日外を歩き回って、さらに神父に会いたいと深夜に雪を踏み締めてここまで歩いてきたのだ。
売り切った時点で、家に帰ればすぐに休むことができただろうに…
少年が唇を離す。
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