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2021年 恵方巻 ③【完】
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「ゆきちゃんも、食べていいからさ」
「…?」
天花の性器を巻物に例えて揶揄したのだ。
全く信じられないことだが…
チェシャは、甘えるようにすりすりと体を擦り付けてくる。
「ボクの恵方巻も…」
「いうなっ」
なんだか、チェシャがいうと縁起の良い事柄も全て情事の方向に理由付けられてしまい、どんどん変な思い出ばかりに上書きされる気がした。
「このお寺の秘仏なんだから、ゆきちゃんのは類をみないくらい縁起物でしょ?」
「…」
なんて返答していいのか分からない。
確かに!と感心すべきか、そんなことないと否定するべきなのか…
なにが正解だろう。
「ボクはゆきちゃんの恵方巻をペロペロして、今年1年いい年にするんだー」
「…」
こいつの頭の中はどうなっているのか疑う。
「えへへ」
それでも、彼が多幸感に溢れた笑みを浮かべて離れていき、床でごろごろと平和に過ごしている様を見ていると、それを壊すことも責めることもできずに、天花は頭を抱える。
「はぁ」
「早く夜にならないかなー」
チェシャの浮ついた声色は弾んでいた。
まるで、遠足の日を待ちわびる子供のようにワクワクと期待を募らせている。
「…チェシャ」
天花は、後ろで転がるチェシャを呼んだ。
「ん?」
「…俺は、細巻きを咥えればいいわけだな?」
「!?」
なんとなく、悔しくて反撃のつもりで天花はそう言った。
チェシャは、目を見開いたがすぐに首を傾げる。
「あー…でも、ゆきちゃん逆方向になっちゃう」
え?
天花は思考が止まる。
「ん?69って事でしょ?」
「…」
なんで、同時に恵方巻を食べると言う想像になるのか。
シュチュエーションを想像してそうなるか。
と天花は思ったので、あながちチェシャの言っている事は間違いではない。
「…もういい」
反撃した自分がバカだったと天花は反省した。
「?」
天花は、再度机に向かって文字を書き始めた。
今夜、節分の夜。チェシャとの妙な思い出ができる。
おにわそと ふくわうち
ー終ー
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