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2021年6月雨の日の巻 ❼
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「…」
・・・
・・・
・・・
チェシャは、長く沈黙した。
「??」
あれ
あたりを視線だけで見回してから、上体を上げる。
天花の姿はない。
「ゆきちゃん??」
さっきまで、天花と激しく体を重ねていた… が…??
と思い自分の下半身を見る。
「…」
tシャツ、ボクサーパンツ。
ボクサーパンツの中は勃起してはいるものの、体が火照っており、下半身が重たく、全身が気怠い。発散できておらず、すっきりしない。
「…」
もしかして、ぼく寝てた…
部屋の様子を見回して、思考を着地させる。
「…」
夢だわ。
と、チェシャはやっと今までのことが、現実ではなかったことに気づく。
そして、再び自らの下半身をみる。張った布の先端がなんだか湿っぽいような気がする。
「どうかしたか?」
すると戸が開いて天花がトレーを持って部屋に入ってくる。
「ゆきちゃん??」
チェシャは見上げて名前を読んだ。
「どうかしたか?」
天花は持っていたトレーを机の上においた。
そこには、薬と水の入ったグラスが載っていた。
「????」
チェシャは足をまげて首を傾げる。
「丸見えだぞ」
全く隠そうとしないチェシャのtシャツは、捲れ上がってパンツの中で張って誇張している。しかも、あぐらをかいているものだから、余計に目につく。
「ねぇ、ゆきちゃん。今きたの?」
「え?ああ…そうだが?」
腑に落ちていないチェシャは、疑惑そのままに天花を見つめる。
「今まで、ボクとセックスしてなかった?」
「は?するわけないだろ」
チェシャが、低気圧のせいで頭が痛いと言うから薬を持ってきたところだ。
と、天花はいった。
「…だよねー」
とチェシャは、考え込む。
すごくリアリティあふれる夢で、あんなに興奮したのになぁとチェシャは、今まで見ていた夢の中の天花を思い出す。
よくよく考えて、それはチェシャの理想とか欲望とかそういうのを天花に重ねていたような気がしてくる。
夢の中の『悪い天花』が現実ではなかった事を残念に思っている自分と、どことなく腑に落ちている自分がいて、その差異を確かめるために、目の前の天花をじっと見つめる。
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