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2022年霜月のとある日の巻❸
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「ゆ、ゆきちゃ…ん?!」
チェシャは、天花の言葉に表情が固まる。
心臓が痛いくらいバクバクと音を立てている。
天花からきた連絡は『元気か?』の一言だった。そんな些細な文章を打つのにこの人がかかった時間は、チェシャには憶測でしかわからない。チェシャなら3秒で済むような文字も、この人は必死に頭を悩ませたんだと思うと、居ても立ってもいられなくなってしまった。しかも、最近老眼が始まっているから、わをかけて大変だったに違いない。
そんなことを妄想するうちに、天花に会いたい気持ちが爆発してしまった。
絶対に外すことのできない重要な仕事だったので、時間が空くのは本当にまずい。顔を見たら絶対に帰れないと思ったから、一方的に帰ろうと思った。でも、もう触れてしまった。
「明日の何時にここを出るんだ?」
「ううん、ゆきちゃんの顔見たらすぐに行こうと思ったんだけど…」
チェシャは、ぎゅと目を閉じてから天花を上目遣いで見上げる。
「…時間ないから、急いでシよ」
「…」
ああ、もう離れたくない。
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