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2022年霜月のとある日の巻❼※【完】
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「ん…んんっ」
チェシャは、目を覚ますと天花の服に顔を埋めていた。
天花が普段使っている掛け布団がチェシャにかけられた状態で、電気は豆電球にしてあるだけで当の本人がいない。
「ふぁあっ」
チェシャは起き上がる。
腰は重いが、気分はスッキリとしていて軽かった。
こんなに心が落ち着いているのは何十日ぶりだろうか。
「…」
チェシャは、これみよがしに自分の後孔に触れてみる。
「えへへ」
そこからはドロリとした白濁した精液がたっぷりと溢れてきてチェシャの指を濡らした。絡んだ指先からこぼれないようにまとわせて目の前で確認する。暗くても糸を引いることにさらにチェシャは満足げに微笑む。
気絶して最後まで天花の絶頂を見届けられなかったが、天花は最後までしてくれたのだと思うとさらに心が満たされた。横に寝て腕枕をして『おはよう』と言ってくれないのは減点だが、気絶したチェシャに構わずに最後まで性行為は続いていたのだと思うと±0にしてやってもいいと思える。
気絶した無体な体を乱暴に抱いている生き仏の姿を想像してチェシャは興奮してしまう。あれほど、何度も達したのだというのに腰が熱く疼き出す。
「…んんっ」
だから、天花の精子の絡んだ指を手で自らの性器につけてしごき出す。
「あんっ…ふっ…」
天花の服に顔を埋めると、湿っぽい。
どちらかの体液が染み込んだ服からは線香の匂いに混じって天花の匂いがする。それだけで、チェシャは更に興奮が高まる。
「…おい、何やってんだ」
「あ、ゆきちゃん」
部屋に入ってきた天花は呆れていた。
「何って、ゆきちゃんの精子でオナニーしてたんだよ」
「…」
天花はなんともいえない表情をしていた。
「ゆきちゃん、それおにぎり?」
チェシャは、天花が持っていたお盆をみて、性器から手を離した。
「…あ、まぁ…」
天花は、汗で背中がピリピリして居ても立ってもいられなくなって背中を軽くお湯で流してきた。ついでに台所へ行って、こんな時のために冷凍してあるご飯を温め直しておにぎりを作ってきたのだ。
「食べる」
その前にやることがあるだろうと思うのだが…
天花は何も言わずに、机の上におにぎりと飲み物の乗ったお盆を置いた。
「後で、風呂に入れてやるから、とりあえずこれで我慢しろ」
天花はお湯で温めてきた大きなタオルでチェシャの指や顔を拭いてやった。
ある程度は乾いてはいたが、各所はまだ濡れていた。適当に天花のサイズの合っていない服を羽織らせる。
「…うん」
チェシャは素直に頷いた。
けれど何か言いたそうな言葉を飲み込んだ気もした。
「ゆきちゃん」
「はいはい」
頷いた顔をあげてパッと微笑んだチェシャは、天花のあぐらをかいた上に座りたいといつものように圧力をかける。
「いただきまあす」
「めしあがれ」
そして、足を投げ出して天花の中にすっぽり治って満足すると、大きなおにぎりを食べ始める。
「チェシャ」
「ん?」
天花は、チェシャの濡れた髪に触れる。
「体大丈夫か?」
「…」
気絶してたし…
酷く抱いてしまったし…
この後、仕事に戻ると言っていたのに加減なんてできなかったから…と天花はチェシャの体が心配だった。
「大丈夫じゃないよ」
すまない
と言いかけたが、チェシャが米を口の端につけながらいう。
「こんなんじゃ足らない」
「え?」
急におにぎりの話?
そんなに腹が減っていたのか?と思ったが、チェシャはいう。
「もっとゆきちゃんとエッチしたいに決まってんじゃん」
は?
と天花は耳を疑う。
「1回だけじゃ、欲求不満解消されないってこと」
「…」
ああ、だからさっきオナニーを…
と頭では納得したものの、天花が思っていた答えとはやはり違って、頭をかかえる。
「そういうことじゃない」
「え?」
天花が言うと、チェシャはおにぎりの最後のひとかけを頬張ってお茶を飲んでいた。
「大事なことだよ。ゆきちゃんも欲求不満だったからボクのこと呼んだんでしょ?」
「お前なぁ」
節操のないセフレみたいな言い方をして…
チェシャは、天花と向かい合わせに座って首に腕を絡ませる。
蜂蜜色の瞳が甘く天花を誘う。
「キスして」
「…」
チェシャは顎をあげて天花の唇を待つ。
天花は、口の端についた米粒をとってから触れるだけのキスをした。
「…えへへ」
チェシャは満足そうに微笑むと、天花の背中に腕を回して抱きつく。
「…っ」
「ゆきちゃん?」
ヒリヒリした痛みに天花の肩が微かに揺れた。
「…」
「…」
チェシャがじーっと天花の顔をみる。天花はチェシャから視線を逸らす。
背中の傷について、あえて言うのもなんだか忍びないし、責めるつもりもないから言葉が出てこない。
「えへへ」
「…」
チェシャは頬を緩めて背中から手を離すと天花の胸の中に顔を埋める。
何かを悟ったのか、それとも読み取ったのか…
「大好き」
すりすりと胸に頬を擦り付けてチェシャは幸せを噛み締めている。
「…そろそろ、風呂に入るか?」
「ううん、まだこのままもうちょっと…」
天花の胸に額をつけると、チェシャがおとなしくなる。
「…チェシャ?おい」
「…」
チェシャの返事が返ってこなくなる。
「…」
寝たのか…?
散々汗や涎や精液などでびしょびしょになって、それが乾いてきたところではあるが、汚れていることに変わりはない。さっさと綺麗にすれば、もっと心地よく寝れるのに…
チェシャは、満腹になったからかそれとも天花の温もりの心地よさからか、そのまま寝てしまった。無理矢理起こして、風呂に入れるのも可哀想だし、何より仕事に戻ると言っていて叩き出すこともない。だったら、まだ今だけはゆっくりしていればいい。
天花は、チェシャを床の上に転がして、押し入れの中から敷布団を取り出した。天花の服やチェシャの服などは部屋の端っこにまとめて置いて、チェシャが起きないように敷布団の上に寝かせてやる。ゴロンと横になるので下半身が丸見えだが、まあいい。どうせ布団をかけるし、起きたら風呂に入れてやるから…
天花は、チェシャが自然に起きるまで横で寝ることにした。
「うーん」
ゴロンとチェシャが横になったので、その隣へ。
チェシャが天花の胸に顔を埋めるように、さらに布団をかけてやる。
「イタタ…」
寝る体制の際に、背中の生地が突っ張って傷を圧迫した。
その痛みに天花は思わず小さな声を漏らしてしまう。すぐに体を動かして背中の服をずらしてチェシャの横に添い寝をする。
「…全く」
みみず腫れをした引っ掻き傷が数日疼いたのは言うまでもない。
『猫に引っ掻かれた』という理由は、キスマーク同様変な噂になるかもしれないから、別の理由を考えなければならない。
「猛猫め」
天花は幸せそうなチェシャの横顔を眺めながら目を閉じた。
次の朝、天花が目を覚ますとチェシャの姿はなかった。
★おあり★
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