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第2章–12 最悪な気分はお互い様
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田口にそんな思いをさせているなんて、少しも思ってもみない保住もまた。
「最悪……」
半分吐きそうになりながら、側の電柱に手を着いた。
酒は好きだ。
だけど。
不愉快な酒は、身体に悪影響を及ぼす。
「お送りいたしますよ」
そう言った女将の手を振り切って飛び出した。
「不本意なことをするものではないな」
口元を抑えて夜道を歩く。
自宅までは30分はかかりそうだが、仕方がない。
体力もなく、日頃の疲れも溜まっている。
そこに、この酒。
絶不調で歩くのもままならないが、帰らないことには始まらないのだ。
なんとか必死に歩みを進めた。
田口の企画書に目を通さなくてはいけない。
こんなところに留まってはいられないのだ。
そう思いながら。
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