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第10章ー11 救済
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保住の自宅は、アパートの二階だ。
玄関の扉が閉まるか、閉まらないからの内に、乱暴に側の壁に体が叩きつけられる。
しかし、そんなことは御構い無しだ。
体の大きい澤井は屈み込み、保住の首筋を吸い上げる。
「あッ……」
「大友が夢中になる訳だ」
自然と洩れ出る声に澤井は微笑し、彼の顎に手をかけると上向きにする。
「後悔するなよ」
「父の代わりですから」
「そうだな。お前は代わりだ」
澤井のキスは、大友の不器用な、不躾なそれとは違った。
やることは乱暴なくせに繊細なキス。
口の中を這う舌は、優しさを覚える。
「澤井、さん……」
「澤井でいい」
ぶっきらぼうな言い草。
シャツを手繰り上げて、入り込んでくる指。
思わず澤井の腕を握る。
「まさか、お前とこんなことになるとはな」
「おれだって、思いも寄りませんでした」
「後悔するなよ、とは言ったが」
弄っている指が、へその下から中に入り込む。
「ッ」
思わず腰が跳ねる。
「させるつもりはないからな」
保住のものを握り込んで撫で回すその刺激。
「や、……ッ、あ、ッ……」
「大友とのキスがそんなに良かったか」
「さ、澤井さんっ!ち、違っ」
空いている手でベルトを外して、ズボンを緩める。
「耳が、苦手で……」
「そうか。ここか」
愛撫する手を止めることなく、澤井は保住の左耳を噛む。
「ひゃッ……」
「いやらしい声も出せるのだな」
「はッ、いや……ッ」
「いつもの、高飛車なお前もいいが。ふしだらで情婦みたいなお前もまた見ものだ」
目の前がチカチカして、涙で視界がぼやける。
赤く上気した頬に、涙がこぼれた。
「お前は男向けだな。田口ともこんな関係か?」
「た、田口……?」
色々なことを投げかけてくるのに、少しも考える隙を与えないような刺激の嵐に、保住の思考は朦朧となる。
田口がどうしたって?
分からない。
「た、田口は……」
佐々木女史と楽しそうに……。
分からない。
守るって言ったくせに。
肝心な時にいない。
大友の時も。
そして、今も。
「はッ、う……ん」
澤井の言葉は耳に入るが、意味を考えるまでには至らない。
息を荒くし、ただ彼から与えられる刺激で立っているのもままならない。
澤井にしがみついて情けないのに。
そんな自分を認知することすらままならないのだ。
悪いくせ。
冷静沈着。
頭脳明晰。
なのに。
情欲には敵わない。
誰でもいい訳じゃないくせに。
一度始まってしまった行為を止められるほどの理性は、持ち合わせていない。
ほかの欲求には、無頓着なはずなのに。
同じ男だからこそなのだろうか。
澤井の与えてくる刺激は、女性との営みよりも刺激的で、保住をトロトロにする。
「ほほう。最中はまるで使い物にならなくなるのか。面白いな」
澤井は、愉快そうにし、彼の腰を引き寄せると床に押し倒した。
「誰と何をしようと構わない。ただ、おれの気持ちは満たせよ。保住」
「澤井……」
「おれを楽しませろ。満足させるまでは終わらせないからな」
澤井は不敵に微笑み、深くキスを落とした。
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