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04 雨の日の再会9
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誰も関口のプライベートなんて聞いていない。
蒼は、むんむんして抗議する。
やっぱりこいつは自己中心的な意地悪男だ。
勝手に決めるなんて人権侵害だ。
なんとか辞めさせようと必死に無理であると言う理由を探す。
「どこで二人寝るんだよ?」
関口は、ふむと考えてから笑う。
「おれの実家のベッドはクィーンサイズだからな。ここに置き換えれば二人で寝られるだろうな」
「ぐ!」
なんで自分がこいつと一緒に寝なくちゃならないのだ!
他には?
他になにか反論の余地はないのか?
蒼は、きょろきょろ辺りを見渡すけど、大して説得力のあることが思いつきそうになかった。
断念するしかない。
悔しい。
どうしてこんなことになったのだろうか?
別に自分じゃなくてもいいはずだ。
星野だって、吉田だって、誰だっていいではないか。
しかも、ここは蒼の部屋なのに。
主導権を握っているのは関口ではないか!
床に手を着いて悔しがる。
「悔しい!ここの主はおれなのに!」
床にへたり込んでいる蒼。
それとは対照的に、誇らしげに座っている関口は不敵に笑った。
「この間、看病してやって病院に連れてったり、お粥作ってやったり……。誰だろうな?そんなに至れり尽くせりで看病してくれた優しい男は。熊谷蒼と言う男は、恩を仇で返す人間か?」
また!
恩着せがましい。
ずうずうしい男。
見直した自分が馬鹿だった。
彼が親切にしてくれたのは、こういうときのための保険だったのだろう。
自分は、いいように騙されたと言うところだ。
蒼は、がっくりした。
「よろしくな!蒼」
にんまり笑う関口。
蒼は食欲も萎え、がっくりと落ち込んでいた。
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