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05 二人6
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「せ、関口は、あの。ま、まだ住む家がその。それであれなんです!家が近かったりなんかして……」
口を開けば、余計どつぼにはまっていく。
「可愛いな。蒼」
「可愛いとか、関係ないじゃないですか。って言うか……ああ。あの……で」
「で?」
「……」
もう打つ手なしである。
蒼は、諦めて黙った。
そして俯く。
星野は、蒼が説明する言葉を待っていてくれたようだが、ネタが切れたことを確認し大笑いする。
「何だかんだ言っても、つまりだ!お前たちは同棲しているってことだろう?」
蒼は、顔を真っ赤にさせて目をぐるぐるさせる。
「ど、同棲なんて。なんだか誤解を招くような言葉を使わないでください……」
「だが、一緒に住んでいることは認めるんだな?」
事実は事実だから、否定のしようもない。
「ええ」
「そうかそうか。ふ~ん」
なになに?
かなり誤解していないだろうか?
蒼は、完全に弱っていた。
だけど、本当のことも言えないし。
気の利いた言い訳もできないし。
蒼は、黙り込むことしかできない。
がっくり来て星野を見上げる。
彼は、一人で納得したみたいに頷いてから、蒼の肩に手を置く。
「蒼。関口はねえ。いい奴だ」
「え?」
「お前はまだ良くあいつのこと分からないだろうけど……。いい奴なんだ。あいつの人間性はおれが保証する」
彼が何を言いたいのか、蒼には分からない。
ただ瞬きをして彼を見つめる。
「そうだな。お前もいい奴だしなあ」
「星野さん?」
おれはいいと思うんだけどな。
星野はうっすら笑顔を浮かべて天井から差し込む光に視線を向けた。
蒼には彼の意図はわからない。
だけど、彼が自分たちのことを「いい奴だ」と言ってくれているのは確かだ。
何がなんだか分からないけど、とりあえず蒼は星野の横顔を見つめていた。
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