アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
07 決意の休日8
-
関口との付き合いは、そんなに長いわけでもないし。
ダメだと考えるのが普通だし。
ダメならダメで仕方がない。
上手くいくほうが奇跡くらいの気持ちで付き合ってやるしかない。
そう判断した。
だって、蒼は年上なのだから。
関口の面倒を見てあげよう。
寛容になれ。
寛容に。
決断を下し、蒼は笑顔を見せる。
「平気だよ」
「蒼……」
関口は、蒼にどう受け入れてもらえるか緊張していた。
しかし、彼の笑顔を見てほっとした。
蒼は、受け入れてくれたらしい。
自分の都合に彼を巻き込むのは忍びなかった。
だけど、こうして付き合ってくれる覚悟をしてくれる彼に感謝だった。
「我儘はいつものことだしね~。でもおれも遠慮はしないよ。嫌なときは嫌だって言うからね」
「ありがとう。そのほうがおれも楽だ。蒼に我慢させているのかと思うと心が重い」
関口は、ほっとしたせいで笑顔を見せた。
彼だって自分に気を使ってくれているのだろう。
お互いがお互いを気にしているということを感じられてほっとした。
「がんばってね。関口」
「もちろんだ。おれが乗り越えなくちゃいけないものだ。中途半端な気持ちではできないんだ」
珍しく彼は険しい表情を見せた。
もしかしたら、これが音楽家の顔?
蒼は、まだ見たことのない一面だ。
「……関口」
まだまだお互いのことは分からない。
自分のことだって彼にすべて見せているわけではないのだ。
逆に言えば、全てをさらけ出す程の関係でもないのだから、そんなものでいいのだろう。
二人の生活は、始まったばかり。
「でも助かったよ。蒼にそう言ってもらえて。これで気兼ねなく。コンクールに集中できる」
こんなに素直な関口は、珍しい。
蒼には、よく分からない。
彼が今、人生の中で大きな転機にあるということが。
だけど、自分にできることはしてあげたい。
彼を支えてあげよう。
初めてそう思っていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
46 / 869