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17 嵐到来2
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ゆうちゃんの母親は相変わらずの笑顔。
そして、隣に立っていたのは、遅番の蒼だった。
戸締りの確認に来てゆうちゃんの母親と立ち話になったらしい。
ちょうど想像していたところだったから、関口はたじたじだ。
「あれ?あの……」
母親が自分の知らない人と居るので、不思議に見上げる。
母親はゆうちゃんに優しく説明した。
「お兄さんは、熊谷さんて言うのよ。ここの星音堂を守ってくれてるんですって」
彼女は蒼を見上げて笑った。
「守ってるの?」
蒼は苦笑する。
「そうだよ。これから鍵を閉めてね。こう言う遅い人は追い出しちゃってね」
意地の悪そうな笑みは、蒼を小悪魔にする。
指摘されて関口はたじたじだ。
きっと今朝の仕返しだろう。
「……蒼」
「先生たち知り合い?」
「あはは……。まあねえ」
「さ。帰りましょう。熊谷さんのお仕事が進まないでしょ?」
ゆうちゃんは母親に手を引かれる。
「は~い。じゃあね~!先生」
二人は連れ立って曲線を描く廊下に姿を消した。
「……蒼」
それを見送っていた関口は蒼に声を掛ける。
「?」
「今朝はごめん」
蒼は俯く。
「ごめん……。おれも。なんだか考えなしだったね。関口には、ひどいこと言っちゃったね」
「いいんだ。おれも過剰になりすぎてんだ。……一緒に帰るか?」
「ごめん。今日はまだ書類の整理が終わってなくて……。先に帰ってて」
「そっか」
なんだか気まずい雰囲気。
蒼は微笑を浮かべて「じゃ」と方向を転換する。
なんだかこのまま別れてはいけないような気がして、関口は蒼の腕を掴まえた。
「ひゃっ!」
強引に引き寄せられたかと思うと、今まで関口が使用していた練習室に引っ張り込まれた。
そして、壁に押し付けられる。
「ちょっと……仕事中なんだけど」
これから起こることを予感してか。
蒼は視線を伏せ、吐息を洩らす。
「スリルない?こう言うのって」
黙り込む蒼の手を握り、そっと唇を重ねる。
「今朝はごめん」
そう囁きながら、角度を変えて何度もキスを繰り返す。
「ふ、んん……ッ」
握り締めた手から蒼の緊張が伝わってくる。
それがおかしくて関口は苦笑した。
「ひどいよ。笑うなんて」
「ごめん」
唇を離し、解放すると蒼は息を吐いて苦しそうに喘いだ。
「大丈夫?」
「うん」
少し上目遣いに恥ずかしそうにしている蒼はますます可愛い。
「帰ったら続きね」
「え?……おれ、好きじゃないんだけどな」
恥ずかしそうに練習室を出て行く蒼を見つめて関口は笑う。
「そういう顔で言われても説得力ないんだけど」
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