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42 仕事納め2
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毎年恒例の仕事納め。
星音堂の仕事納めは12月30日だ。
大晦日から年明け、1月5日までお休み。
短い休みではあるけど、公務員の割りに過酷な労働条件の星音堂にしたら貴重な休暇だ。
滅多にない連休に職員はみんなうきうきしている。
午前中で仕事を終え、お昼にちょっぴり早いお蕎麦の出前をして。
午後からは一斉に大掃除だ。
ホールなどは職員の手では行えないので省くが、事務室を中心に大変な騒ぎになる。
こういう大掃除とかになると張り切る男が一人いるから。
「分担表を決めてきたぞっ!」
蕎麦を片付けてくつろいでいると、星野がリストを抱えてやってきた。
氏家は呆れる。
「また、それか」
「星野さんの独断と偏見から決まった分担って不公平なんですよね」
ぶうぶう文句を言う吉田。
「こぉら!吉田!お前、今すごく生意気なこと言ったぞ!」
「だって~」
「だってじゃない!お前!なんだか最近すこぶる生意気だ!」
ぎゃあぎゃあ喧嘩が始まると、水野谷が止めに入る。
「まあまあ。星野も一生懸命やってくれているんだし。話を聞こうじゃないか」
大掃除になると水野谷も借り出されるから少なからず神妙な顔つきをしていた。
「そうこなくっちゃです!課長♪」
星野は嬉しそうにリストをホワイトボードに貼り出した。
「課長は書庫の点検。尾形さんと氏家さんは電子機器の掃除。高田さんとおれは窓拭きと換気扇掃除。蒼はキッチンの掃除ね」
ふふんと笑う星野。
一番嫌がられている場所、換気扇の掃除が星野とは意外な配置だ。
吉田は、ほっとした。
「で、おれは何するんです?」
「お前は今年から入ったスペシャルお掃除ポイント!あそこだ!!」
星野が指差した先に一斉に視線を向ける。
「え?」
目が点になる吉田。
蒼は大きくため息を吐いた。
「……最悪」
一同の視界に入った汚れた物体。
それは。
秋に星野が作成した鳥小屋だ。
いつの間にか餌にありつけると鳥には好評で、たくさんの鳥がやってくる。
週に1回は掃除をしているが、やってくる鳥の糞などで汚れてしまうのだ。
「今日はきっちり掃除してもらうからな!水で洗ってくれ」
「そんな~!この寒い中ですか??」
「ふふん」
完全なるいじめだ。
換気扇よりも酷い掃除スポットが生まれたことにみんなは顔を見合わせる。
「吉田さん、おれ換気扇ないし。すぐキッチンはきれいになると思うから手伝いますよ」
蒼は彼の肩を叩く。
「ひどいですよ~!星野さん!課長もひどいと思いませんか??」
半泣きの吉田を見て水野谷も気の毒そうだ。
「すまない。おれもすぐに手伝いに行くからさ」
「課長……」
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