アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
57.蒼の誕生日2
-
「だから!来年はアニバーサリーだ。今年は何もない年でもこんなに大変だったから、来年は職員を増員するらしいんだってこと」
「職員が増えるんですかっ!?」
蒼はビックリだ。
誰かが退職しないかぎり、人は増えないものだとばかり思っていたから。
「それ、本当?こんな不景気に?」
「うん。本庁から回ってくるんだか、新人が来るんだか。まだ決まってないらしいけど。ともかく、来年度に職員が増えるってことは確からしい」
「へ~!」
「着ぐるみの件にしても、結構、市は家にお金かけてくれますね」
「そうなんだよね。市長が音楽の町で売り出したいらしいからね。ほら。来年は市制100周年でもあるし。ずいぶん、音楽関係のイベントが多いからな」
氏家の説明に納得する。
そういえばそうだ。
市制100周年の記念事業で、大掛かりな演奏会もいくつも予定されていると言っていた。
あの安齋が。
それに輪をかけて、自分たちも20周年だ。
この人数ではとてもまかないきれないことだろう。
「どんな人が来るんだろう?」
蒼はなんだか嬉しい。
自分が入社してから新しい人が入ってきたことがないんだから。
わくわくした。
そんな彼の様子を見て、星野は呆れた。
「あのねえ。人が増えるって大変なことなんだぞ?どんな奴が来るかは分からないし。ましてや、今回は新人なのか古株なのかも分からないって言うじゃないか。どうすんだよ。お堅い古株さんが来たら。こんな風に無駄口も叩けなくなるんだぞ?」
そっか。
それはそうだ。
蒼にとったらこの雰囲気がしっくりくるんだから。
新しい人が増えるってことは、この雰囲気が変わるってことだ。
それは安齋が来たときに重々理解した。
彼がいるのといないのでは雰囲気が違うから。
「そうですよね。そう考えると、なんだか心配になってきたな」
吉田も蒼と一緒だったんだろう。
わくわくしていた気分が一気に萎えてしまったと言うところか。
「まあ、半々の確立だな。どっちに転がるかは神様次第だね」
氏家はにこやかに言い放つ。
そういうあなたが神様みたいですっ!と蒼と吉田は思う。
「そうそう。蒼が入ってくるって言うときも大騒ぎだったんだっけ」
そんな様子を見ながら高田は笑う。
「え!おれ?」
「そうだよ。普通だったら新しい奴が入ると、しばらくは異動がないんだけどなあ」
珍しいことだ。
「そうそう。ここから本庁に戻るなんて珍しいことでしたよね」
尾形も同意した。
「あいつは優秀だったからな。こんなところで終わる奴じゃなかったんだろうさ」
吉田と安齋はどうなったのだろうか?
ふと吉田のほうに視線を向けると、彼は微妙な笑みを浮かべていた。
彼の様子を見ていると、安齋とは大丈夫そうな気がしてほっとした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
419 / 869