アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
78.いつも一緒2
-
きちんと話そう。
圭と話していてそう思った。
だけど、不器用な自分はどうしたらいいのか分からなかった。
ブルーノが来ている。
そして今は蒼と一緒にいる。
もう少しで彼が姿を見せるのかと思うとドキドキして仕方がなかった。
いても経ってもいられないとはこのことだ。
室内をウロウロする巨体。
圭とけだもはぽかんとしてレオーネを見ていた。
『おいおい。落ち着けよ』
『それが落ち着いていられるか。ブルーノが来るんだぞ?どうすんだよ?』
どうするもなにも。
さっき、結論を出したばかりではないか。
ちゃんと話し合いをするって。
それに巻き込まれている自分たちの身にもなってくれ、と思う。
今日はせっかく、久しぶりに蒼と二人でまったりしようと思っていたのに。
台無しだ。
『話し合いをするときは、落ち着いてやらないとちゃんとしたものにはならないんだからな』
『圭に言われなくても分かっている!』
分かっていないじゃないか。
レオーネの緊張が最高潮に達したかと思われたとき。
玄関の扉が開く音がした。
「ただいま~」
蒼の声である。
と、言うことは。
圭はレオーネを見る。
彼は強張った表情でその場に立ち竦んでいた。
動けない様子だ。
仕方ない。
圭は立ち上がって玄関先に顔を出す。
そこには蒼と。
居心地が悪そうなブルーノが立っていた。
「ただいま。圭」
「おかえり」
にっこり笑顔を見せ、それからブルーノを見る。
『やあ。久しぶり』
『こんばんは。すみません。家のレオーネがご迷惑をお掛けしているみたいで……』
家の?
圭が苦笑していると、いきなり、後ろからレオーネが飛び出した。
『なにしているんだよ?お前はイギリスに演奏に行っているはずだろう?』
唐突だ。
それに、こんな切り出し方では喧嘩になるのも頷ける。
圭は慌てて、彼の腕を掴む。
『レオーネ!』
はっとした様子の彼。
だけど、遅い。
ブルーノはしゅんとして俯いていた。
『あの』
『来なくてよかったのに』
レオーネは更に続けてしまう。
『レオーネ』
圭は大きな声で嗜めた。
『ブルーノ。こいつはちゃんと反省していて、お前ときちんと話をしたいって』
一生懸命に弁明してあげようとしても、当の本人がこんな態度では気持ちは伝わらないだろう。
ブルーノは首を横に振る。
『レオーネの気持ちは分かった。おれと話し合うのが嫌なんだと思うから。いい。おれ、ホテル取ってあるし、そっちに泊まって明日には帰る』
『ブルーノ』
蒼は慌てて彼を捕まえるが、首を横に振る。
『ごめん。蒼。おれ、帰る』
『ブルーノ』
蒼は圭を見る。
引き止めてよ。
そういう意味もあるが……。
圭には通じないらしい。
彼も困った顔をしたまま押し黙っていた。
「圭」
蒼がわたわたしている間にブルーノは首を横に振ってから姿を消した。
『レオーネ。いいの?』
ぷいっと視線を外すレオーネ。
『いい。知らない。もういいんだ』
完全にへそ曲げである。
蒼と圭は顔を見合わせて大きくため息を吐いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
591 / 869