アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
天劔神社の秘密②
-
レオは葉瑠が言う誓約(うけい)の意味は分からないが、セックスを求められていることだけは雰囲気で理解できた。
至近距離で見る葉瑠の少し太めな眉は可愛らしく、大きくパッチリとした瞳は透き通っていてとても美しい。
学校では無口で地味なイメージの葉瑠が、これほどまでに妖艶な美少年に変貌してしまうことにレオは戸惑った。
魅了されてしまったレオは意識が少しぼやけ、気がつけば壁まで追いやられてしまったようだ。
「レオさん、我が家の秘密の伝えでは、再び人間の世界に現れた妖怪(魔族)と当神社の跡継ぎが出会い結ばれたのならば、御神体の剣にかかる呪いが解けると言われています。」
「初代当主の呪われた魂を解放することが我が一族の悲願なのです。どうか……。」
葉瑠は壁にもたれ掛かるレオを上から覆う様にそう言った。顔はお互いのおでこが引っ付くほど密着しており、葉瑠の着ている装束はついにおへそ辺りまではだけていた。
顔にかかる葉瑠の甘い吐息と、ちらちら見えるぷっくりとした色気のある乳首がレオの欲情をそそらせる。
「レオさん……ぼくはあなたを一目見た時から……」
「待って!! 駄目だよっ!!」
葉瑠がレオの唇を奪おうとした直後、欲情を堪えたレオは、葉瑠の両肩をグッと掴み前へ押さえ込んだ。
「イタタタタッ! レオさん痛いですっ!」
痛がる葉瑠を見て、レオはすぐに手を離した。予期せぬ状況下だったこともあり、力加減が上手くできなかったようだ。
「ごめんね。つい力入り過ぎちゃった。」
「い、いえ……無理もありません。いきなり変なことしようとしてごめんなさい……。」
レオは深刻な顔をする葉瑠を見て、なるべく重い雰囲気にならないように理由を聞いた。
「もうびっくりしたよ。葉瑠くんてなかなか大胆なんだね。その……さっき言ってた一族の悲願というのは本当なの?」
「……はい、本当です。さらにぼくの一族は、来るべき時のために妖怪(魔族)と人間を見極める力があると言われています。だから、レオさんはこの世界の人間ではないことを初めて見た時からなんとなく分かっていました。」
レオは、やはり葉瑠には微量ながら魔力を感じる力があると確信した。それは、葉瑠の先祖が半魔半人で、薄まりつつも代々魔族の血が受け継がれているためであろう。
「でもぼくは人付き合いが苦手なので、レオさんと絡むことは多分一生ないと思っていました。」
「でも、こんなぼくにレオさんから話しかけてくれて、さらに友達にもなってくれたあなたこそが誓約の相手に違いないと思っていましたが……。」
「葉瑠くん……今自分には、大切な恋人がいるから駄目なんだ。葉瑠くんの願いも叶えてあげたいけど、きっとその役目はぼくじゃないと思う。」
葉瑠はレオのその話を聞いて、少し寂しげな表情で答えた。
「レオさんに恋人が……そうですか……。もう駄目ですよね……。こんなぼくと友達になってくれたあなたにあんな酷いことをしようとして、なんと謝っていいのか……。」
「そ、そんな別に大丈夫だよ! 確かに普段の葉瑠くんと違ってちょっと恐かったけど、なかなか色っぽくて、逆にすごいな……なんて思ったし。ちなみに未体験なんだよね?」
「あ……は、はい! でも来るべき時のためにこのようなもので常に勉強しており……。」
葉瑠は部屋にある少し古めかしいけど価値のありそうな箪笥の一番下を開けた。なんとその中には、どこかで見たことあるようなアニメの男子キャラ同士がイチャついてる薄い本が大量に入っていた。
「わわっ! 葉瑠くん……こんなの一体どこで……。」
「それは、秘密です。正直引いてます……よね?」
「いや、実はこういうの見たいって思ってたんだ。でもまだ年齢的にも買いにくいじゃん?」
「ほ、本当ですか!? 今日好きなだけ読んでいって下さっても構いませんよ?」
「はは、ありがとう。でも、それは次回遊びに来た時にしようかな。」
「え……また来てくれるんですか? あんな信頼を失う行為をしたぼくとまたプライベートで会ってくれるんですか?」
「何言ってるの? 事情も分かったし、何も問題ないよ。葉瑠くんだって学校でぼくと初めて友達になってくれた人なんだよ。そんな葉瑠くんともっと仲良くなりたいな、ぼくは。」
「レオさん……。ありがとうございます! ぼくも、レオさんともっと仲良くなりたいです!」
レオはさっきまで悲しい表情をしていた葉瑠が、今は少し明るくなっているのを確認できてホッとした。
実はレオは、葉瑠が一族云々は関係なく、自分に一目惚れしていたことを分かっていた。キスをしようとした時の表情やセリフ、自分に恋人がいることを話した時の動揺でなんとなく察した。
しかし、レオはそれについて葉瑠自身に問いかけることはできなかった。葉瑠を余計に傷つけることになるし、きっと友達としての関係も終わると思ったからだ。
「改めてよろしくね葉瑠くん。でさ、今日は葉瑠くんにこの広い神社を案内してもらいたいなって。 雰囲気は独特だけど、こんなに自然豊かで素敵なところ他に知らないよ。」
「は、はい! そう言っていただけると案内し甲斐があります! では、さっそく!」
宿舎から出た2人は一旦正門に戻り、順次境内を廻った。
歩きながら、2人はお互いのことをよく知るために色々な会話を楽しんだ。
「そう言えば、レオさんの恋人ってどんな方なんですか?」
「うん、心配性で不器用で、スケベなやつだけど、とても優しくて強いんだ。」
「……そうですか。いつかぼくも会ってみたいです。レオさんの恋人。」
「また2人でこの神社に来るよ。年齢に差があるけど、きっと葉瑠くんとも気が合うと思うよ。」
「ふふ、また友達が増えて賑やかになりそうですね。ぜひ一緒に来て下さい!」
葉瑠は失恋したものの、それを覆う尽くすほどの友情が生まれたことを実感した。
そして、このような奇跡の出会いがあるならば、いつか本当の誓約をする相手が現れる日も近いのではないかとも思った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 30