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「…や、約束だからね‼」
柄にもない大声を出して…紫は遠ざかっていった。
お互い、抑制剤の使用は絶対。
Ωが夏休みの間に妊娠したら、嶋の負け。
勝った方は負けた相手に言うことを一つ命じることができる。
シンプルな条件下のもと、二人の同居が始まった。
七月下旬。夕方になるまでは茹だるような空気が地上を支配していて、日々最高気温が各地で更新される頃。
蝉の大合唱と茹だるような熱風の中。半ば汗だくになりながら、嶋は閑静な住宅街の中にある、目当てのマンションを見つけた。紫に教えてもらった通り、彼の部屋の扉前に到着する。
手荷物は黒いボストンバッグ一つ。後日宅配で段ボールが幾つか届くと聞いた紫は、玄関先で目を丸くしてみせた。…部屋の奥からは、クーラーと思わしき冷たい風が流れ込んでくる。
「…そんなに、荷物少なくていいの??」
「別に。…これって要は、ばあちゃん家に帰省しているみたいなもんだろ。」
そうだけど、と紫は唇を尖らせる。
「…僕ン家をばあちゃん家扱いしないでくれるかな??」
「マンションだしな。一軒家じゃねぇもんな。」
「そういう問題でもないんだけど…。」
紫は、腕組みして、やや頬を膨らませる。
今日の紫は、淡い緑のTシャツに薄桃色のカーディガン。ベージュのパンツを履いていた。肩まで切りそろえた黒髪が綺麗に項を隠している。首には、登校時につけているらしきものと同じ、首輪が見えた。
内心、嶋は安堵する。首輪は、無暗に項を噛まれないようΩが自衛のためにつけるアイテムだ。紫からフェロモンが出る兆しはないし、少なくとも今日は安心して生活が出来るだろう。
安心したら一気にお腹が空いてきた。廊下を進んでいた嶋は思わず、腹部に手をやって、手の平が汗でじっとりと濡れているのに気がつく。
「シャワー…。」
思わず、口をついて喋っていた。全身、ぬるぬるしてあまり気持ちのいいものではない。
「え??」
廊下を案内しようと背を向けていた紫が、こちらを振り返る。あ、いや…と口ごもり、結局嶋は打ち明ける。
「悪ィ、紫。浴室、どこかな??シャワーある??」
ああ、と紫も気がつく。
「外、暑かったよね。シャワーならあるよ。好きに使ってくれ。」
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