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体勢を整え、もそもそと枕元まで這いずって、さあ横になろうとした矢先。枕の真横に、光る銀の鍵を見つけて仰天した。
「やっば…‼」
急いで扉に帰り、内鍵を捻って施錠する。閉まっているか不安になり、扉を開こうと試みる。ダァンダァンダァン…ッ、重々しい音が真夜中に小さく爪を立てた。
(扉は閉まっている…。)
安心したからか。足元から力が抜けていく。倒れこみそうになる身体を抱え、嶋はベッドにダイブした。
…前もって、紫が日に干していてくれたのか。ふかふかの布団は、微かに太陽の匂いがした。
鉛の身体は、すぐさま睡魔に蝕まれていく。眠りの際で、嶋はとろとろと微睡みだす。
(とりあえず、初日は何事もなく過ごせた…。)
戸締りをきちんとした部屋にいるのだから、という安心感が拍車をかけて嶋の身体を弛緩させていく。脱力した身体は、あっという間に眠りの世界に誘われていく…。
(そういや、紫におやすみを言うの、忘れたな…。)
最後にかわした言葉は、“また明日”だった。同級生にかける語彙の中に、“おやすみ”はふさわしくないと無意識に避けていたのかもしれない。
嶋の意識は、暗転した…。
目が覚めると、嶋のベッドの淵に誰かが座っている。ぼんやりとした視界が段々とはっきりしてくる。…紫だ。紫が、αの青年が横たわるベッドの淵にゆったりと腰かけている。
(…ぇ…??)
嶋の視界は、全体的に霞がかっている。微かに揺れてもいた。焦点を合わせづらい。それでも嶋は、ベッドに座るΩの同級生がするりと首から何かを引き抜く姿を認識した。
(くび、わ…??)
首輪って何だっけ、と頭を探ろうとするが何も出てこない。…とにかく、これほど深夜にαとΩが部屋に二人っきり、それも一緒にベッドにいるという事実が、嶋の頭で警鐘を鳴らす。
『…嶋。』
すっ、と。紫の綺麗な顔が近寄ってきて、αの青年の閉じた唇を奪った。ほんのりと温かくて柔らかいものが、嶋の唇に押し当てられる。
(キス…され、た…??)
どうにも鮮明にならない意識とは裏腹に、嶋の心は搔き乱されていた。
(何故、紫がここにいる??)
(部屋は閉め切っているはずだ。)
(首輪とってキスをして…。これは一体、何だ??)
感情の嵐に、嶋が戸惑っている内に彼の手を同居人がそっと握った。
『ねぇ…わかるでしょう??嶋…。お願い…。』
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